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2015年8月2日(日)

きょうの潮流

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 ことしで100年を迎えた夏の高校野球全国大会。1世紀の歴史のなかに「幻の甲子園」と呼ばれた大会がありました▼戦時下の1942年夏、戦意高揚のために開かれた全国中等学校野球大会。スコアボードには「勝つて兜(かぶと)の緒を締めよ 戦ひ抜かう大東亜戦」という軍事スローガンが掲げられ、進軍ラッパが試合開始を告げました。ユニホームはすべて漢字、選手たちは「選士」と呼ばれました▼「開会式には軍服を着たおとながずらりと並んでね。異様な雰囲気だった」。当時、仙台一中の内野手として出場した春日清さんは、正式に数えられていない大会を振り返ります。(『甲子園100年物語』)▼前身の大会が始まった1915年から、毎年のように開かれてきた夏の全国大会。今度が97回と数が合わないのは戦争による中断があったから。甲子園も内野スタンドを覆う大鉄傘が軍部に供出され、グラウンドは芋畑に変わりました▼球児たちはボールやバットを持った手に銃や手投げ弾を握り、多くの若い命が戦場に散りました。いま東京ドームにある野球博物館では節目を記念して高校野球の特別展が開催中です。館内には戦没野球人のモニュメントがあり、不戦の誓いが込められています▼全国合わせて73校の参加から始まった大会は100年の今回3906校までひろがりました。戦後、荒れ果てた列島にいち早く鳴りひびいた球音。それは自由と平和の象徴でした。あのときの思いが心に染み渡る8月が、まためぐってきました。


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