2014年12月15日(月)
海からの移民・難民
過去最高34万人台に
国連事務所 遭難死も4000人超す
難民申請や移住のために危険を冒して船で海を渡った人々が、2014年はこれまでに34万8000人に達し、過去最高となりました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がこのほど明らかにしました。沿岸諸国や地域の国家がこの問題に対処する方法で混乱し、国際社会は人命を最優先するという視点を失っていると警告しました。
34万8000人のうち20万7000人は、北アフリカのリビアなどから地中海を渡り欧州に到着した人々。その数はリビアでの内戦が最も激しかった11年の約7万人の3倍に達しました。
これまで欧州への渡航者は移住が主な目的でしたが、今年初めてシリア、エリトリアなど政情が不安な国からの難民申請者が半数を占めました。
UNHCRは地中海を渡るルート以外に、海からの移民、難民が多い場所として、(1)アフリカ北東部のソマリアなどからサウジアラビアなど湾岸諸国に渡るアデン湾・紅海、(2)東南アジアのベンガル湾、(3)カリブ海―の三つを挙げています。今年1〜11月に、それぞれ8万2680人、5万4000人、4775人が渡航しています。
渡航中の遭難死は今年すでに4272人に達しています。内訳は最も危険なルートとされる地中海で3419人、ベンガル湾で540人。アデン湾・紅海では12月8日までに242人が命を失っており、カリブ海では12月初めまでに71人が死亡しました。
グテレス難民高等弁務官は「命をかけて故国を逃れる人々を脅しで制止することはできない」として、なぜ故国を逃れるかに目を向ける必要があると強調。同時に、密航で利益を上げている犯罪ネットをどう取り締まるかを考える必要があると語りました。(夏目雅至)