2014年8月21日(木)
ガザ 再び空爆 停戦協議が暗礁に
イスラエル軍が30回 ハマスはロケット弾
【カイロ=小泉大介】イスラエル軍は19日、パレスチナ自治区ガザからロケット弾が発射されたことへの報復として、同地への空爆を再開しました。先にイスラエル軍とイスラム武装抵抗組織ハマスが20日午前0時までの一時停戦で合意し、本格的な停戦に向けて双方の協議が続いていましたが、暗礁に乗り上げました。
イスラエル軍は19日夕から20日午前にかけて、ガザに対し30回以上の空爆を実施。ハマスの軍事部門幹部宅への爆撃では、幹部の妻と娘ら3人を、さらに別の民家への攻撃では妊婦1人と子ども3人を含む8人を殺害しました。イスラエル政府は一時停戦で任務解除していた予備役兵の再招集も決めました。
同政府は空爆再開の理由として、ハマスが一時停戦合意に反してロケット弾3発を発射したことを挙げました。ハマス側はこれを否定しましたが、イスラエルの空爆再開への反撃としてロケット弾数十発を発射し、その一部はエルサレム近郊に到達しました。
イスラエル政府代表団とハマスを含むパレスチナ代表団は11日に一時停戦が始まって以降、エジプトの首都カイロで本格的な停戦に向けた間接協議を断続的に行ってきました。しかし、イスラエル政府は19日のハマスのロケット弾発射を理由に代表団に引き揚げるよう命じました。
協議ではパレスチナ側がイスラエルによるガザ封鎖の全面解除を要求。一時はエジプト政府が示した段階的解除の妥協案に歩み寄ったとの観測が流れましたが、イスラエル側はハマスの武装放棄の保障が必要だとの主張を譲らなかったもようで、19日まで合意に至りませんでした。
パレスチナ代表団のアフマド団長は19日夜、「われわれが柔軟性を示したにもかかわらず、イスラエルは結論の先延ばしを画策し続けた」と批判。同時に、仲介役のエジプト政府に提出した要求書へのイスラエル側の回答を待つとし、協議再開を求める姿勢も示しました。
一方、戦闘再開を受けイスラエルの閣僚からは、「ハマスが降伏した場合にのみ停戦協議すべきだ」(リーベルマン外相)、「テロ組織との協議はさらなるテロをもたらすだけだ」(ベネット経済相)などの強硬論が相次いで出ています。