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2014年6月4日(水)

主張

総合法の参院審議

根拠なき介護破壊は明らかだ

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 安倍晋三内閣提出の医療・介護総合法案の参院審議が始まりました。法案についての誤った説明文書を配布するという厚生労働省の前代未聞の大失態によって、当初より10日以上遅れの異例の審議入りです。ところが政府・与党は短時間審議での採決をたくらんでいます。医療と介護の仕組みを壊し、患者・家族の安心を揺るがす重大な改悪案を、ずさんなやり方で強行することは許されません。

データ数字に重大問題

 医療・介護総合法案は、消費税増税・社会保障「一体改悪」路線を具体化したものです。社会保障の基本を「自立・自助」とする安倍政権の姿勢にもとづき、医療でも介護でも、個人や家族に負担と責任を押し付け、国が手を引く方向が鮮明となっています。

 参院審議入りと同時に、介護改悪案の根拠のデータに重大な問題があることが、日本共産党の小池晃参院議員の追及で発覚しました。介護保険導入後初めてとなる一定所得以上の人のサービス利用料を2割負担に引き上げる問題で、厚労省が示した数字が、高齢者の生活実態からかけ離れていました。意図的な数字を根拠に2割負担が過重になるはずの収入の高齢者まで“大丈夫”と描いていたのです。負担増と利用抑制にかかわる問題でゆがめたデータをそのままに、法案を押し通す道理はありません。

 要支援1・同2の高齢者の訪問介護・通所介護を、国の責任で行う介護保険サービスから外し、市区町村がそれぞれ行う「事業」に丸投げする改悪案の問題点も浮き彫りになっています。これは介護保険の公的費用を無理やり抑え込むのが最大の狙いです。

 厚労省は「適切なサービスは維持される」と繰り返しますが、肝心の地方自治体からは「担えない」という声が続出しています。そのうえ、政府の「モデル事業」として、法案の内容を先取りして実施している自治体では、国民から必要な介護サービスを奪っている実態が大問題になっています。

 全国13の「モデル事業」の一つ、東京都荒川区では、要支援1の80代の女性が10年以上受けてきた介護保険の「生活援助」を無理やりやめさせられ、ボランティアの「家事援助」に切り替えさせられました。同区内の別の要支援1の女性は、足腰の痛みからつえなしでは歩けないのに、デイサービスから「卒業して」と繰り返し迫られました。高齢者の健康や暮らしの実態を見ない乱暴なやり方です。

 要介護認定で「要支援」と認定された人たちは介護サービスが必要とされ、それを受ける権利があると行政が認めた人たちのはずです。その人たちに「介護保険から卒業」を強要することは、重大な権利の侵害にほかなりません。

徹底審議で廃案に

 厚労省作成の「モデル事業」の資料では、市区町村ごとにつくった「多職種の会議」などを通じて、介護利用者の「サービス終結」を判断し、「卒業」させる仕掛けが明記されています。医療・介護総合法案で、こんなやり方を全国の自治体に広げれば、高齢者の暮らしは成り立ちません。

 法案には、特別養護老人ホーム入所要件を「要介護3以上」へ原則化することなど介護関連だけでも重大問題が山積です。徹底審議で廃案に追い込むことが必要です。


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