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2014年5月21日(水)

主張

診療報酬カット

在宅でも入院でも医療壊すな

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 今年4月からの診療報酬改定が、医療現場に苦難と混乱をもたらしています。その一つが高齢者施設などの患者への訪問診療の報酬の大幅引き下げです。診療をやめる医療機関も生まれ、医療従事者、高齢者施設、患者に重大な影響を広げています。病院から患者を締め出す病床削減も今回の診療報酬改定で本格化しています。入院でも在宅でも必要な医療を受けられない―。「医療難民」をつくる政策はただちにやめるべきです。

いきなり4分の1に

 診療報酬は医療機関に支払われる“医療の値段”です。診療行為ごとに国が価格を決め、2年に1度改定されます。消費税増税と同時の今回改定は、実質マイナス改定でした。「社会保障の充実」どころか、医療現場を苦境に追い込む実態が浮き彫りになっています。

 訪問診療の報酬引き下げは、乱暴きわまるものです。月2回以上定期的に訪問診療する場合、老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者住宅、マンションなど「同じ建物」に住む複数の患者を「同じ日」に診察すると診療報酬を約4分の1に大幅減額するとしました。

 在宅医療に熱心に取り組む医療機関にとって、これほど大きな打撃はありません。高齢者施設の患者は80〜90歳代が多く、認知症などいくつも病気を抱えていたり重症化したりしています。医師や看護師にとって患者を1人ずつきちんと診察することは、「同じ建物」であっても、大変な時間と労力が必要です。今回の減額は現場の実態をまるで無視しています。

 「あまりにも割に合わない」「『在宅重視』に逆行する」と怒りが広がり厚生労働省はあわてて「緩和策」を導入しましたが、問題はまったく解消せず、混乱に拍車をかけています。日を変えて「1日1人だけ」訪問などすれば減額しないという「緩和策」ですが、それをするにも外来の合間をぬって訪問診療をしている医療機関には大きな負担です。施設が遠くにある場合は実行が不可能です。訪問診療からの撤退だけでなく、閉鎖を検討する診療所も現れるなど事態は深刻です。

 高齢者施設側は訪問を受け入れる回数が激増し、その対応に四苦八苦し悲鳴を上げています。訪問診療がなくなることで被害を受けるのは高齢者・患者です。まさに地域医療の崩壊です。

 厚労省は、減額理由に「患者紹介ビジネス」をする一部の業者・施設の存在を挙げますが、筋が違います。今回の減額は、問題ある業者の規制につながりません。「不適切事例」への対処なら指導を強めることです。真面目に在宅医療に取り組む人たちを締め付ける診療報酬は即時改めるべきです。

医療・介護破壊許さず

 今回の診療報酬改定は、消費税増税と社会保障「一体改悪」路線の一環です。「患者7人に看護師1人」体制をとる病床を9万床削減する診療報酬改定も行い、病院からの“患者追い出し”を加速させています。「入院から在宅」を強引にすすめておきながら、「在宅」の基盤を壊す診療報酬改定を強行することは、支離滅裂というほかありません。

 国民の命と健康を無視した「一体改悪」路線の危険な姿は明らかです。医療・介護破壊路線をやめさせることが急務です。


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