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2014年1月26日(日)

主張

シリア和平会議

当事者は停戦に向けて全力を

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 3年近くにわたって内戦が続くシリアの和平をめざす会議がスイスで開かれました。国連安保理常任理事国や周辺諸国などが参加した国際会議をへて、引き続き国連の仲介でアサド政権と反体制勢力との直接協議が行われています。

 紛争当事者同士が参加する話し合いは今回が初めて。事前の予想通り両者の対立は厳しく、具体的成果に結びつけるのは困難です。しかしシリア国民が直面する事態はきわめて深刻で、国際社会には失望する猶予すらありません。停戦の実現は急務です。そのうえでこそ将来の政治体制をめぐる話し合いも視野に入ってきます。

犠牲強いられる市民

 シリア内戦は13万人ともされる人命を奪いました。戦火を逃れた難民は周辺諸国などで登録されただけで237万人、シリア国内には600万人以上がいるとされ、食料にも事欠く厳しい生活を強いられています。和平会議に先立って、国連で人道問題を担当するエイモス事務次長らがシリアの子どもを守ろうと呼びかけた公開書簡を発表しました。「国内の子どもたちへの救命支援を妨害しない」など控えめというべき訴えが、シリア市民を取り巻く事態の悲惨さを浮き彫りにしています。

 アサド政権はミサイルや爆弾による攻撃をやめず、反体制勢力側も一進一退が続いています。武力で決着がつかないなかで市民の犠牲ばかりが拡大しています。戦闘の停止が緊急の課題であることは明らかです。暴力の応酬とその混乱を利用して、国外から流入した武装組織が勢力を強めていることも大きな問題です。国際テロ組織アルカイダ系の組織はシリアと隣国イラクのそれぞれ一部で、残虐行為による住民支配を強めていると伝えられます。これに対処するうえでも、アサド政権と反体制勢力との停戦が不可欠です。

 シリア内戦は、民主的変革を求める市民の平和的なデモを、アサド政権が激しく弾圧したことに始まります。国際社会は交渉による解決を働きかけ、2012年には政治解決をめざす合意が国連やシリアに影響力をもつ国々によってつくられました。それが今回の当事者間協議につながっています。

 合意は政治変革の第一歩として移行政府の樹立を求めています。しかし、反体制勢力がアサド大統領の排除を求め、政権側がこれを拒否して対立し、停戦の見通しもたっていません。

 将来の政治体制はシリア国民が選挙を通じて決めるべきものです。その道筋に向けた合意をみるには時間がかかります。政権側、反体制側双方が国民の苦境を緩和することを最優先して、部分停戦、さらに全土での停戦を急ぐことが不可欠です。

国際社会が努力強めて

 シリアでの和平実現には国際社会の積極的な関与が欠かせません。国連が主導した12年の停戦は数カ月で崩壊しました。しかし、今回の和平協議が開かれるにあたっては、シリアの化学兵器の廃棄をめぐって米ロをはじめとする国々が積極的に協力し、国連安保理が全会一致で採択した決議が基礎になっています。国際社会が一致協力して和平を追求する姿勢を堅持し、紛争当事者間の直接交渉を進展させるために外交努力を強めることが、シリア国民にとっての希望をつなぐ道です。


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