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2014年1月13日(月)

きょうの潮流

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 二十歳の門出を祝う日に、あるおばあちゃんの話を一つ。名前は上中別府(かみなかべっぷ)チエさん。昨年暮れ、自身の経験をまとめた『83歳の女子高生球児』(主婦の友社)を出版しました▼ごく普通の人生が一変したのは、夫を亡くした2年後のこと。76歳で「英語を学びたい」と一念発起。夜間中学に通い始めたのです。毎日が必死、でも新鮮でした。新しいことを知る喜びに目覚め、「もっと勉強がしたい」▼定時制高校にも進学します。中学、高校とも周りは孫より若い。でも、「年齢のことをついつい忘れてしまう」。すぐに溶け込めるのは、わけ隔てない人柄ゆえです▼3年生のある日、野球部に誘われ入部を決意します。家族を慌てさせつつ、“日本一、人生経験豊富な高校球児”が誕生します。チームメートから贈られた赤いグラブを手に県大会で一度だけレフトを守り、決勝では伝令も務めました▼戦中生まれのチエさん。子どもの頃、戦争と貧しさから勉強できなかった悔しさが、ずっと胸の奥にあったとか。その悔恨の念と、みずみずしい挑戦心が、まぶしい83歳の大本にある気がします。「人生は、何歳からでも、どんな環境からも新しいことを始められる。勇気をもって行動を起こせば」。重みがつまった言葉とともに今春、卒業を迎えます▼晴れの日を迎えた新成人。行く手は、山もあり谷もあり。ときには迷ったり、立ち止まったり。そんなとき人生の大先輩の生きざまが先を照らし、勇気をくれます。チエさんのように。


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