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2013年12月28日(土)

きょうの潮流

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 さえずる鳥、芽吹く樹木。高畑勲監督のアニメーション映画「かぐや姫の物語」は、山里の美しさ、命の輝きを余すことなく描きます。われわれのすむ地球は、こんなにも「彩りに満ちている」のだと▼豊かな自然の中でのびのびと育ったかぐや姫は、娘の思いを読み違えた竹取の翁(おきな)によって都で育て直されます。汗などかかず、口を開けて笑うこともない「高貴な姫」として…。自己を失い、心が折れるかぐや姫。何本もの線で描かれたスケッチのような絵が、絶望と悲しみを生々しく表現します▼見る者の心にずしんと余韻が残ります。さまざまな思索を誘う作品です。有限と無限。人間社会のすばらしさと愚かさ。命を輝かせる手ごたえのある生き方とはどういうものか。われわれはどこから来てどこに行くのか▼8年がかりの制作です。半世紀前、東映動画に入社して間もなくの頃、会社から与えられた課題として、かぐや姫の物語の企画案を考えたことがあったという高畑監督。「かぐや姫はいったいなぜ、何のためにこの地上にやってきたのか」という謎が今回の映画化の出発点になりました▼生命力あふれる地球に憧れながらも、みずからの「生」を生き切ることができなかったかぐや姫。その悲劇は「地球に生を受けたにもかかわらず、その生を輝かすことができないでいる私たち自身の物語でもありうる」(パンフレットの監督の言葉から)▼作品は同時に現代の地球を逆照射します。誕生から46億年。地球は今も彩りに満ちているか―。


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