2013年10月16日(水)
憲法の役割 再確認
9条世界会議参加者
平和を愛する世界中の人たちと日本国憲法9条の意義を考える「9条世界会議・関西2013」が14日、大阪市中央体育館で開かれ、国内・外から招いたゲストのさまざまな発言で約5000人の参加者が、日本の平和憲法の果たす役割への認識を深めました。 (藤原直)
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「なぜ一国の憲法の一条文をめぐって国際会議が開かれたのか。それは9条が日本の国民のみならず世界とアジアの人々に対する約束(不戦の誓い)であり、平和のための支えだからです」。韓国の人権派弁護士、キム・ジンクさんはこう語りました。
日本の良心期待
立命館大学の君島東彦(あきひこ)教授は「9条は侵略戦争を起こした大日本帝国の軍隊を全面的に否定するアジアの民衆の安全保障」だったと指摘。9条を加害とのかかわりでとらえる視点は当初あまり意識されなかったが、日本の民衆は米国からの改憲圧力をはね返す中で、9条をつかみ直してきたと話しました。
キムさんは、韓国では日本の政権を握る右派勢力の声だけが報道されがちだが、「日本の本当の力は(平和を愛する)良心的な人々の存在だ」と強調。日本が9条の条文や解釈を変え、自ら軍拡競争をあおれば東アジアでも戦争の危機が高まると警鐘を鳴らし、日本の民衆の取り組みへの期待を表明しました。
世界からも注目
憲法9条で戦争放棄のみならず戦力不保持と交戦権の否認まで定め、前文には全世界の人々の平和的生存権を明記した日本の平和憲法は、世界からも注目を集めています。
韓国・仁荷大学のイ・キョンジュ教授は、いま国際社会で宣言の動きがある「平和権」の理念を先取りしているのが日本の憲法だと指摘しました。
国際民主法律家協会のロラン・ヴェイユ副会長(フランスの弁護士)は「9条は、平和の国際法という文明の進歩を目指す方向に厳密に合致している。9条はむしろ模範だ」と力を込めました。
今年初めて9条の存在を知り「驚いた」というチュニジアの弁護士、ベルハッセン・エヌーリさんは「9条は市民が裁判所で平和を擁護するための今までにない方法だ。他国では、戦争する権限とは政治の問題であり、司法による審査の対象外とされる」と指摘。現在同国で起草中の新憲法に、日本の平和憲法の精神を取り込むよう求める提案を準備していると話しました。