2013年7月7日(日)
エジプト各地で衝突 30人死亡
国連・米が声明「暴力阻止を」
エジプト軍に解任されたモルシ前大統領の出身母体であるイスラム主義組織ムスリム同胞団などは5日夜、カイロ中心部のタハリール広場付近で反モルシ派と衝突し、報道によると2人が死亡しました。衝突はエジプト各地で発生し、死者は少なくとも30人に達しました。事態収拾のめどは立っていません。
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拘束されたと伝えられていたムスリム同胞団の最高指導者バディア氏が同日夜、カイロで数万人が集まった親モルシ派のデモに姿を現し、「モルシ氏が復権するまで、デモを続ける」と主張しました。
軍は「平和的なデモは許容する」方針ですが、暴力的な衝突に発展すれば介入すると示唆しています。
地方都市でも衝突は相次ぎ、北部アレクサンドリアで14人が死亡、シナイ半島のエルアリシュでは警官5人が武装グループに襲撃され、死亡しました。
警察は、モルシ大統領退陣要求のデモ隊に対する銃撃死傷事件(6月30日)に関与した疑いがある同胞団ナンバー2のシャーテル氏を拘束。親モルシ派がさらに反発を強める可能性があります。
軍の「行程表」では、早期に大統領選挙を実施するとし、それまで暫定大統領に就任したマンスール最高憲法裁判所長官が暫定統治を行いますが、ムスリム同胞団は「行程表」を認めない姿勢です。
米国務省のサキ報道官は5日声明を出し、エジプト各地の衝突を「非難する」と表明し、ムスリム同胞団や反モルシ派ら全ての指導者に対して、暴力を阻止するよう求めました。
同報道官は「エジプト軍が平和的な集会を含む全ての国民の権利を保障するよう期待する」と指摘し、全ての平和的な抗議の声は聞き届けられなければならないと強調しました。
ピレイ国連人権高等弁務官も同日、エジプトに関し、人権が尊重され、平穏を取り戻すためにすべての市民が協調して努力するよう呼び掛けました。