2013年5月17日(金)
きょうの潮流
「今日ここに大きな夢の実現に向けて、その第一歩を踏み出します」。1993年5月15日、歓声ひびく国立競技場で、プロサッカーのJリーグが開会を宣言してから20周年をむかえました▼名称も新たなプロスポーツの登場は鮮烈でした。選手たちの個性的なプレー、サポーターの独特な応援スタイル。そして地域に根ざしたスポーツクラブの実現をかかげたことは、日本のスポーツに多大な影響をあたえました▼発足当初は大都市中心の10クラブだったのが、いまでは全国30都道府県で40クラブが息づきます。各地で子どものサッカーチームもひろがり、男女を問わずスポーツに接する機会を増やしています▼Jクラブによる地域貢献の活動も豊かに実っています。ほかの競技の普及をはじめ、学校での特別授業や健康教室、介護予防や地産地消の食育活動まで。その地の文化を育てる担い手になっています▼これまで親企業の広告塔だったプロ野球にも変化をもたらしました。地名を入れた球団が増え、地道に野球教室を開いたり、目を向ける先が変わってきています。球団合併をめぐる選手会労組やファンのたたかい、震災支援も、社会的な存在としての自覚を促しました▼サッカーを通して日本に根付いてきたJリーグ。志は半ばですが、百年構想の道のりは長い。頼もしいのはクラブやサポーターがこの先を共有していることでしょう。世界トップのリーグ、成熟した市民クラブ、そして独自の文化の創造―。壮大な夢はつづきます。