2013年4月22日(月)
ボストン爆破事件
全米の注目は“動機”
テロ対策での議論も
【ワシントン=山崎伸治】15日に米東部マサチューセッツ州ボストンで起きた爆弾テロ事件の容疑者が19日夜、逮捕されたことを受けて、全米の注目は事件に至った動機に集まっています。ただ容疑者の兄弟2人のうち兄は死亡、弟も重体。真相が明らかになるまでには時間が掛かりそうです。事件を受けた“テロ対策”問題も議論となっています。
マサチューセッツ州のパトリック知事は20日、記者団に対し、前日夜に逮捕されたジョハル・ツァルナエフ容疑者(19)について「重体だが安定した」状態で、「まだ話はできないと思う」と説明しました。
米紙ニューヨーク・タイムズをはじめとする米メディアは同日、拘束後に死亡した兄のタメルラン・ツァルナエフ容疑者が2012年にロシア南部ダゲスタン共和国を訪問していたことに注目。同容疑者がロシア・チェチェン共和国出身だったことと合わせ、“イスラム過激派”組織との結び付きを示唆する報道を流しています。
米連邦捜査局(FBI)は19日夜に発表した声明で、「ある外国政府」(ロシア政府)が11年に同容疑者について「急進イスラム主義の信奉者」ではないかとして情報提供を米側に求めていたと公表。こうした発表が一連の報道のベースともなっています。
これについてコラムニストのジョシュア・ファウスト氏は19日、クリスチャン・サイエンス・モニター紙(電子版)で、「子ども時代に米国に移住した2人にチェチェン紛争とつながりがあるかのよう、におわすのは無責任だ」と批判しました。
また今回の事件を受けた米国内の“テロ対策”について、20日付のワシントン・ポスト紙は社説で「10年前よりもテロに対する対応に備えができていた」と指摘。地元紙ボストン・グローブ(電子版)も同日付で「監視カメラは犯罪抑止に役立つ」との社説を掲載し、“プライバシーよりも治安が優先”との趣旨の主張を掲げています。
一方、オバマ米大統領は20日、土曜恒例のラジオ・インターネット演説でボストン爆弾テロ事件を取り上げ、警察当局の努力を称賛しました。