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2012年12月17日(月)

主張

アフガンでの戦争

「終結」後も永続駐留狙う米国

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 オバマ米政権は2014年中にアフガニスタンから米軍戦闘部隊を撤退させ、戦争を終結させるとしています。一方では、アフガン政府軍を訓練するためなどとして、15年以降も米軍の駐留を継続させようとしています。駐留目的には「テロへの対抗」が含まれており、掃討作戦の継続に道を開くものともなっています。アフガンへの軍事介入を継続する動きは、2期目に入ったオバマ政権の対外政策をみるうえでも重要です。

「数週間以内」に

 パネッタ米国防長官が12日、アフガンを訪問しました。駐留米軍司令官らとの協議などを通じて状況をつぶさに把握し、オバマ大統領への「提案とりまとめに生かす」と語りました。同大統領は、15年以降に駐留させる米軍の規模などを「数週間以内」(同長官)に決定する予定です。

 パネッタ長官とカルザイ大統領との会談後には、同大統領がオバマ大統領の招きで来月に訪米することも発表されました。15年以降の米軍駐留はアフガン政府と結ぶ協定にもとづくため、カルザイ大統領の同意が不可欠です。米政府が「永続的駐留」と呼ぶ計画がかたちをとりつつあります。

 米軍が駐留する限り、戦争が実質的に続く危険は明らかです。現にアフガンの隣国パキスタンで、オバマ政権はパキスタン政府の非難をよそに無人機による攻撃を行うなど、宣戦布告なき戦争を続けています。昨年のビンラディン殺害は当局への通告もしないまま強行され、パキスタンの主権を侵害しました。先制攻撃を正当化したブッシュ前政権の一国覇権主義こそ破綻したものの、米国が「テロへの対抗」を名目に軍事作戦を展開し、覇権主義に固執していることは見過ごせません。

 米軍が主導し、北大西洋条約機構(NATO)が主体の国際治安支援部隊(ISAF)も14年中に任務を完了します。しかし、NATOは5月の首脳会議で、15年以降もアフガン治安部隊への訓練や顧問を名目に活動を継続することを確認しています。「戦闘任務ではない」というものの、事実上の介入継続です。ただ、フランスやイギリスなど欧州諸国の多くが部隊を早期に撤退させる意向を示しており、米国の思惑通りには進まない可能性もあります。

 治安権限を外国軍からアフガン治安部隊に移譲する計画も進んでいません。アフガン国民の間に反米感情が高まるなか、反政府武装勢力タリバンの支持者が政府軍に浸透し、外国兵を攻撃するなどし、アフガン治安部隊への「信頼」に疑問が強まっています。

 戦闘はなお続いています。パネッタ長官の訪問中にも、カンダハルのNATO軍基地で自爆テロが起き、米兵が死亡しました。外国軍犠牲者を記録しているサイト(icasualties)によれば、今年の死者数は01年の開戦以来4番目と依然多いままです。

「長い戦争」で

 「同時テロ」への報復として始まったアフガンでの戦争は11年を超え、米国にとってもベトナム戦争以上の長い戦争になり、犠牲者も増える一方です。軍事力ではテロを根絶できないことが明らかです。外国による軍事干渉こそ、アフガンの和平を妨げる最大の問題です。外国軍は撤退し、アフガンが主権を回復すべきです。


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