「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年11月6日(火)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 ドラマは何のためにあるのか。その役割の一つは、ドキュメンタリーや報道ではこぼれおちてしまう心の機微を、役者の肉体を使って鮮やかに描き出すことにあるのでしょう。公開中の映画「希望の国」にその思いを強くしました▼園子温(そのしおん)監督の新作です。前作「ヒミズ」で、舞台を3・11後の日本に変更した園監督。続く作品でテーマにしたのは、収束のめどがたたない原発事故でした。舞台は東日本大震災から数年後の日本、長島県。マグニチュード8・3の地震とそれに続く原発事故で人生を狂わされる、ある家族の物語です▼悲劇の始まりは、酪農を営む小野家の庭先に杭(くい)が打たれたこと。道路一つ隔て、隣家が避難区域になったのです。息子夫婦を自主避難させる老夫婦。しかし、小野家にも退去命令が出され…。園監督は被災地の苦悩をあますところなく描くことで、原発との共存に希望はあるのかと問いかけました▼映画を見ながら、福島県立あさか開成高校の演劇を思い出しました。原発事故後の自分たちを描いた舞台「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?」。自分たちの気持ち、体験が随所に盛り込まれた作品です▼主人公にこんなせりふがあります。〈忘れたい人もいる、いや忘れてほしいって思っている人がたくさんいる。今、俺たちがここで感じていることを今、みんなが忘れないようにしなければ何にも変わらない。何度でも起きる〉▼映画「希望の国」の希望はどこにあるのか。答えを導き出すのは私たちです。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって