2012年10月14日(日)
主張
オスプレイ無法飛行
県民の安全守る姿勢がない
米海兵隊の新型輸送機オスプレイが沖縄の普天間基地に配備されてから、ほぼ連日、傍若無人な飛行を行っていることに、県民の新たな怒りが噴き上がっています。
1日に6機、2日に3機、6日に3機が岩国基地(山口県)から移駐し、第一陣12機の配備が完了しました。基地周辺の環境に慣れる「慣熟飛行」の段階だといいますが、人口密集地上空でわが物顔に飛行をくりかえしています。住民の「安全」をうたった日米合意はまったくほごにされており、日米政府に県民の命を守る姿勢がないのは明らかです。
守る気がない日米合意
オスプレイは今年だけでも2回も墜落した危険な欠陥機です。9月の沖縄県民大会で10万人を超す人びとが配備反対の声をあげ、県知事や県議会をはじめ、全自治体の首長・議会など、文字通り島をあげて反対しています。
日米両政府は沖縄にオスプレイを押し付けるために、形ばかりの「安全」対策を約束しましたが、日米合意が県民を守るものでないことも、日米政府に県民を守る気がないことも明らかです。
仲井真弘多沖縄県知事が県民の声をふまえて野田佳彦首相に配備撤回を求めた(9日)のに、首相は、日米合意が守られるように「フォローアップする」と答えただけです。県民の切実な願いには耳を貸さず、配備を押し付ける態度は言語道断です。
日米合意の破綻はすでに明白です。オスプレイは岩国基地で実施した試験飛行でも、人口密集地の上空を飛行し、沖縄移駐のさいには愛媛県や高知県などを縦断しました。沖縄でも普天間基地周辺の市街地上空をわが物顔に飛びまわっています。米軍に最初から、人口密集地上空での飛行は避けるとした合意を守るつもりがないことを示すものです。
普天間基地は宜野湾市のど真ん中にあり、人口密集地上空での飛行を規制するなど、もともと不可能です。「人口密集地を避ける」とした日米合意は、配備を強行するための日米政府の県民に対する卑劣なごまかしにすぎなかったことは明白です。
オスプレイが普天間基地に向かうさい、基地から約5キロも手前でヘリモードに転換していることも明らかになりました。固定翼機の機能とヘリの機能を併せ持つオスプレイは、モードを転換するときがもっとも危険とされています。日米合意は、ヘリモードは基地上空だけで、転換はできるだけ短時間でとしているのに、まったく守られていません。人口密集地上空でモード転換をおこないヘリモードで飛行すれば、騒音や墜落の危険性はいっそう高まります。県民が合意を信用しないのは当然です。
配備撤回しかない
もともと米軍機は、これまで日米で合意している夜間の飛行規制協定も守ったためしがありません。沖縄ではこれまでも米軍機墜落がなんども起き、1959年の宮森小学校を直撃した墜落事故では子どもらが犠牲になりました。政府は日米合意を盾にして危険なオスプレイを県民に押し付けるのをやめるべきです。
県民の命を守るためには、日米合意でごまかすのではなく、危険な配備を撤回させるしかありません。沖縄と本土が連帯してたたかうことがいよいよ重要です。