2012年10月9日(火)
きょうの潮流
電車の中でふと目をあげると、前の列に座る全員が携帯電話やスマートフォンをいじっていました。機能性が高まるにつれ、日常に欠かせなくなった人も多い。総務省の調査では、いまや9割以上の日本人が携帯電話に加入しています▼同じ総務省が体育の日を前に分析したものから国民のスポーツ離れがわかりました。過去1年間にスポーツをした人の割合は約6割。1991年の78%をピークに20年間、低下傾向がつづいています。とくに20、30代が深刻です▼同省は背景について「ゲーム機やスマートフォンに接する時間が増えるなど、スポーツ以外の余暇の過ごし方が多様化している」とみています。たしかに、それに費やす時間は増えているでしょう。しかし、それが主な要因なのか▼あるスポーツ財団の調査では「スポーツを行いたいと思うができない」が半数を占め、理由の大半は「時間がない」でした。長時間や過密労働を強いられるなかで、心身ともに疲れ果て、体を動かす気力もわかない実態があります▼この1年でスポーツに携わった人の多くもジョギングや体操など手軽なものでした。裏を返せば、身近にスポーツを楽しめる施設がないのです▼昨年、施行されたスポーツ基本法は「スポーツは国民の権利」を明記しています。ことしはロンドンオリンピック、パラリンピックを通してスポーツのもつ力や価値が再認識されました。調査や行事に終わらせず、みんながスポーツに親しめる社会をつくることが国の責務です。