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2012年9月24日(月)

主張

患者窓口負担

お金の心配ない医療の実現を

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 体調が悪いけれどお金が心配で我慢している―。医療機関窓口払いの負担の重さが、治療の必要な人たちを医療から遠ざける事態を深刻化させています。賃金も年金も目減りする家計の冷え込みが受診抑制に拍車をかけています。

 医療を無理に切り詰めることは健康を破壊し、命にかかわる重大問題です。誰もが経済的な負担を気にせず受診できるように、窓口負担の引き下げが急がれます。

受診控え「症状が悪化」

 現在の窓口負担は、70歳以上は1割負担、70歳未満は3割負担(小学校入学前までは2割負担)が原則です。公的医療保険制度のある国では、イギリスのように窓口負担は無料か、少額の定額制がほとんどです。この問題でも日本は世界で遅れた国となっています。

 日本医師会が9月に発表したアンケート結果は、高すぎる窓口負担が、患者が医療を受ける機会を妨げている実態を明らかにしました。3割負担を「とても負担だ」「やや負担だ」と回答した人は66・5%に達しました。深刻なのは「過去1年間に経済的理由で受診を控えたことがある」人が10%を超えたことです。「症状が悪化したことがある」人は受診を我慢した人の半数以上になりました。

 調査対象は地域の診療所や病院の患者です。重い窓口負担が障害になって比較的身近な医療機関でさえ足を運びにくくなっていることを示しています。今後の窓口負担引き上げには8割以上が反対を表明しました。

 厚労省の調査でも1000〜3000円の窓口負担を重く感じる人が年収200万円未満の層で多く、年収400万〜600万円未満の層の2・5倍でした。収入が少ないほど窓口負担に苦しんでいることを浮き彫りにしています。

 受診が遅れ、重症化するほど医療費はかさみます。早期受診・治療が医療費を抑え、医療保険財政の改善にもつながります。高齢者が70歳になり窓口負担が1割に軽減されると、心身ともに健康状態が改善する研究結果が世界保健機関(WHO)の雑誌に発表されています。国民の健康を保障するうえで窓口負担軽減が大きな力を発揮することは明白です。

 ところが野田佳彦内閣の方向は正反対です。来年度予算概算要求で、70〜74歳の窓口負担を1割から2割に倍増させる前提の予算を組みました。2割負担は自民・公明政権時代の2006年の医療改悪法に盛り込まれましたが、国民の批判を浴びて「凍結」されていたものです。実施の是非は年末の予算編成で決めるとしています。約573万人の高齢者に負担を強いる暴挙は絶対に許されません。

悪循環断ち切る改革を

 重い窓口負担が受診抑制を引き起こし、症状を悪化させる悪循環を断ち切ることが必要です。

 子どもの医療費無料化を実施する自治体は全国に広がっています。東日本大震災の被災地では、被災者の命と健康を守るために自治体が独自の努力で窓口負担の無料化を続けています。国の責任で行うべきです。

 日本共産党は、子ども医療費(小学校入学前)を国の制度として無料化するとともに現役世代2割・高齢者1割の負担とし、さらに窓口負担ゼロの実現をめざしています。安心できる医療制度の実現への改革がいよいよ求められます。


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