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2012年9月16日(日)

きょうの潮流

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 今月5日付本欄の、映画「あなたへ」の感想で、「人間も星のかけらの一部」と書きました。ある読者は、それを読んで一つの歌を思い出した、といいます▼「いのちもつ星のかけらが生命なき砂塵に還(かえ)るまでのつましさ」。歌人、木村雅子さんの作品です。人間は小さな星のかけらにすぎないけれど、なんといとおしい存在か。歌い手の、そんな気持ちが伝わってくるようです▼読者のすすめで、『木村雅子歌集』を読みました。ページを繰るごとに、数十年の歴史を追体験している気がしてきました。折々の、世界と日本のできごとや人々の生きる姿を歌い込んでいるからです▼次の一首に目を通した瞬間、思わず息をのみこみました。「原発に直下の地震襲ひ来て放射能流るる夢も見たりし」。1995年の阪神・淡路大震災のときの歌です。木村さんの父で歌人、故太田丘さんも、“チェルノブイリの牙は足元にひそんでいる”と警告する歌をつくっています▼政府は、相次ぐ警告に耳をふさぎました。昨年3月、悪夢は現実と化し、ひそんでいた危機が牙をむく。木村さんは詠みます。「放射能あるが日常となりてけり何マイクロシーベルト? 天気のやうに」。福島事故の後、人々はもはや以前とは違う世を生きます。「原発をすぐになくそう」が自然な行き方の社会です▼歌集は、東日本大震災の犠牲者を悼み、『銀河鉄道の夜』の宮沢賢治をしのぶ、いのちの歌で閉じられます。「失ひしいのちかがやく残る人の心の中の銀河鉄道」


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