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2012年9月12日(水)

主張

最低賃金

さらなる引き上げこそ必要だ

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 2012年度の47都道府県ごとの最低賃金(時給)の改定額が出そろいました。全国平均12円アップの749円で、11年度の引き上げ額7円を上回りました。中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は7月末、12年度も7円アップにとどめる「目安」を示しましたが、地域の実情を反映させた結果2年ぶりの2桁アップとなりました。12円アップでもきわめて不十分です。時給1000円以上への引き上げを実現する取り組みがいよいよ重要になっています。

38県で「目安」上回る

 最低賃金は中央最賃審の「目安」を受けて都道府県の最賃審が地域ごとの改定額を答申して決めるしくみです。新しい最賃は、答申への異議申し立てを審査した後、9月下旬から適用されます。

 12年度は38県の改定額が中央最賃審の「目安」額を上回りました。11年度は東日本大震災被災地の岩手、宮城、福島の3県では1円アップでしたが、12年度は10〜6円の引き上げとなりました。「この額ではとても暮らせない」と引き上げを求めた労働者の声の一定の反映です。

 しかし、改定額の749円でもフルタイムで働いて月12万円程度です。「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる」(最賃法)水準からは、あまりにもかけ離れています。しかも北海道、宮城、東京、神奈川、大阪、広島の6都道府県は、依然として生活保護水準を下回っています。07年に改正された最賃法は「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」として生活保護水準を下回らないようにする文言も盛り込まれました。法改正から5年もたっているのに生活保護水準以下の地域が存在するのは異常です。法律違反の現状を放置しているのは、あまりに無責任です。

 最低賃金と生活保護水準を比較する厚労省の計算方法は「実態とかけ離れている」と批判されています。最賃(時給)を生活保護費(月額)と比べる換算では、所定労働時間(月155時間前後)を大きく超える月173・8時間で計算することによって最賃額を大きく見せています。逆に生活保護費を少なく見せるため、最賃と生活保護費を比べたとき、生活保護費が低くなる地域の平均値をわざわざ使っています。全労連は「正しく計算すれば、ほとんどの都道府県で最賃は生活保護水準を下回る」と指摘します。最低賃金を抑え込むごまかしはやめるべきです。

 民主党政権が10年の「新成長戦略」で掲げた“早期に全国最低800円を実現し、20年までに1000円をめざす”目標も、野田佳彦内閣の「日本再生戦略」では「工程表」記載にとどまりました。最賃引き上げの流れを逆行させることは許されません。

「引き下げ競争」やめよ

 日本の最低賃金は世界のなかでも低水準です。最賃引き上げによって労働者・国民の懐を温めることで内需拡大をはかるべきです。

 最賃が生活保護水準を下回る「逆転現象」解消を口実に生活保護水準切り下げを狙う動きは、まったく不当です。「引き下げ競争」の悪循環は、国民の所得を奪い消費を冷え込ませる最悪の道です。国民のくらしを底上げし、日本の経済再生の土台を築くためにも時給1000円以上・全国一律の最低賃金制度の実現が急がれます。


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