2012年9月5日(水)
主張
オスプレイ事故報告
構造的欠陥がいよいよ明白だ
米海兵隊が4月にモロッコで起きた新型輸送機オスプレイの墜落事故について報告書を公表したのに続き、米空軍も6月のフロリダでの墜落事故について報告書を公表しました。いずれも事故原因はパイロットによる「人為ミス」と決め付けています。見過ごせないのはオスプレイについてきわめて操縦が難しく、ちょっとした「ミス」でも大事故を起こす可能性を認めたことです。
事故報告はオスプレイに構造的な欠陥があると認めたのと同じです。報告書が公表されたことを理由に、10月の沖縄配備を強行するのは許されません。
危険と一体の航空機
2人が死亡し2人が重傷を負ったモロッコでの墜落について報告書は、上昇中に機体の向きを変えた際後方から風を受け、回転翼も前に傾けすぎたためと説明しています。パイロットが機体の向きを変えたのは、異常な下向きの風による地上への影響を避けるためです。両翼に特別の回転翼を持つオスプレイが後方からの風に極めて弱いことも十分説明されていなかったと、報告書は認めました。
5人が重傷を負ったフロリダでの墜落事故も、2機編隊での飛行中に後続機が先行機からの後方乱気流に巻き込まれ、左右のバランスが崩れたことが原因だというのが報告書の指摘です。それほどバランスを崩しやすい構造だということです。訓練マニュアル自体の不備も指摘しています。
事故原因がオスプレイの構造にかかわるものだとなると、配備が予定される沖縄などにとってその危険性はいよいよ重大です。
オスプレイが配備される普天間基地の周辺は市街地です。上昇中異常な下向きの風が吹き、回転翼の向きの変え方が悪かったり、わずかな追い風を受けたりしてもバランスを崩して墜落するとなると、基地周辺の住民はおちおち生活もしておれません。
オスプレイは普天間基地を拠点に全国で低空訓練します。風が強い沖縄や低空飛行の実施が予定されている本土の山あいでの飛行中に墜落する危険があります。しかもオスプレイは強襲揚陸艦などを足場に海外の戦場に兵員や物資を「強襲輸送」するのが任務です。そのためには編隊飛行がつきもので、墜落しないという保証はそもそもないことになります。
もともとオスプレイには、エンジンがとまれば下降流を利用してプロペラを回し着陸するオートローテーション機能がありません。左右に回転翼があるため油圧・電気系統などが複雑になり不具合が生じやすいこと、左右の回転翼に不均一な形で渦巻き状の気流が発生するため制御不能になりやすいなど文字通り構造的な欠陥も明らかになっています。
欠陥のある航空機を「世界一」危険な普天間基地に配備する計画はきっぱり中止すべきです。
配備強行の企てやめよ
オスプレイの配備が予定されている沖縄では、報告書は「配備強行のための茶番」との声が噴き上がっています。米軍も日本政府も、事故報告書を地元に説明するだけで10月沖縄配備の方針をまったく変えようとしません。
9日には沖縄で大規模な県民大会が開かれます。沖縄と本土が一体で、オスプレイの配備中止に追い込むことがますます重要です。