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2012年9月4日(火)

主張

パラリンピック

人間の無限の可能性しめす

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 ふたたびロンドンが熱気と興奮に包まれています。史上最多となる164カ国・地域の4200人をこえる選手が連日熱戦をくりひろげているパラリンピック。日本選手団も奮闘し、大会4日目からは柔道や競泳でメダリストが誕生しています。

 障害を抱えながらの卓越したプレーから、日々の懸命の努力や工夫とともに、困難にひるまず目標に向かってまい進する、人間のたくましさが伝わってきます。

トップ選手が一堂に

 過去最大規模となった今大会の開催は、障害者スポーツの世界的なひろがりや、スポーツがあらゆる人たちの権利であることを示しています。戦傷者のリハビリから始まったパラリンピックですが、障害者スポーツが普及していくにつれ、各競技のトップ選手が一堂に会して鍛えぬいた技と力を競い合う場へと発展してきました。

 陸上男子の両足義足ランナー、オスカー・ピストリウス選手(南アフリカ)はロンドン五輪にも出場し、400メートルでは準決勝まで進みました。卓球や水泳でも障害者の選手が五輪代表に選ばれるなど、その競技力は年々向上しています。スポーツ本来の魅力とともに、人間の無限の可能性を感じさせるパラリンピックは、いまや100カ国以上でテレビ放映され、40億人が視聴できるという国際スポーツイベントになっています。

 今大会は計画段階から五輪とパラリンピックが一体となって組織委員会を運営するなど、垣根がいっそう低くなりました。会場のバリアフリー化も進み、どこも観客がいっぱいです。パラリンピック発祥の地ならではの盛り上がりをみせています。

 競技性を追求することによって車いすテニスの国枝慎吾選手のようにプロとして自立し、世界で活躍する選手もでてきました。しかしこうした選手はひと握りです。日本を代表する車いすアスリートの土田和歌子選手でさえ、「障害者スポーツをめぐる環境は、選手が活動をつづけていくためには極めて厳しいもの」と強調しています。貧しい練習環境をはじめ、活動資金や指導者、競技生活を支えるスタッフなど、トップをめざす選手たちの負担や困難さは深刻です。

 日本パラリンピアンズ協会が行った競技環境調査によると、選手個人で負担する費用は年平均で144万円に上ります。専任コーチが付いている選手は半数程度です。練習場所もなく、ほとんどの選手がナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学センターの利用を望んでいます。

 日本ではいまだに「障害者スポーツは福祉の一環」という考えが根強く、国も五輪は文科省、パラリンピックは厚労省の管轄と縦割り行政になっています。文科省は今年度(2012年度)のスポーツ予算概算要求には「健常者と障害者のトップスポーツ融合拠点形成事業」に6億8千万円を計上しましたが、すべて削られてしまいました。現場の身を削る努力だけに頼っている強化の現状を一刻も早く改めなくてはなりません。

障害者にも保障を

 スポーツ基本法には障害者スポーツの推進も位置づけられています。障害者が気軽にスポーツを楽しめる環境をつくることは、豊かなスポーツ文化を形成し、障壁のない社会につながるはずです。


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