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2012年8月25日(土)

主張

社会保障「解体」法施行

改悪の具体化阻むたたかいを

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 民主、自民、公明の3党が、消費税増税法と抱き合わせで強行した「社会保障制度改革推進法」が22日施行されました。医療・介護・年金・生活保護などの大改悪方針を盛り込んだ法律です。法律実施の第一歩として制度改悪を議論する「社会保障制度改革国民会議」の設置を急ぐ発言が、野田佳彦政権側から相次いでいることは重大です。消費税大増税と社会保障削減という「二つの激痛」を国民に強いる大改悪の具体化をストップさせることが求められます。

破たんはいよいよ明白

 社会保障制度改革推進法は、税と社会保障「一体改革」関連法のひとつです。もともと政府提出法案ではありませんでしたが、民自公3党の密室「修正」協議のなかで自民党が突然持ち出し、民主党が丸のみしたものです。

 社会保障の基本は「自助・自立」の「自己責任」であるとして、国や地方自治体の公的責任と財政支出を大後退させる方向を鮮明にしています。自民党の“社会保障の哲学”が貫かれた法律です。社会保障の向上・増進を国の責任と義務づけた憲法25条の理念を放棄する、文字通り「社会保障解体宣言」というべきものです。

 社会保障の主要財源を消費税に限る「社会保障目的税化」や、医療や介護の「給付の重点化」「効率化」など縮減まで明記しています。「医療崩壊」「介護難民」を生み出した小泉「構造改革」以上の「激痛」を国民にもたらしかねません。

 「国民皆保険」を突き崩すような条項もあります。日本医師会からは貧富の差で医療を差別する「混合診療」の全面解禁などにつながりかねないとして「政府が国民皆保険を放棄するかのような姿勢を示したことは看過するわけにいきません」と批判する意見も表明されています。

 社会保障切り捨ての推進法は、野田内閣が宣伝してきた、消費税増税は「社会保障充実のため」という口実がまったく成り立たないことを示すものです。来年度予算編成でも生活保護をはじめとする社会保障費を圧縮するとしています。消費税増税法の3党「修正」で増収分を大型公共事業に流用できる条項が盛り込まれたことと合わせ、消費税増税の道理のなさがますます浮き彫りになっています。

 重要なのは、推進法で具体的に決まっているものは国民会議(委員20人以内)設置ということだけです。各制度の実際の改悪は今後の国民会議の議論などを経て、新たな法案や法改正案として国会に出され立法化されるまで実行に移せません。国民会議発足も難航しています。民主、自民の党略的な思惑からメンバーも選べないのが実態です。国民世論を前に噴き出した矛盾の反映です。たたかいはこれからです。

くらしの破壊を許さず

 消費税増税と社会保障の「一体改悪」は、国民のくらしをボロボロにして内需を冷え込ませるものです。景気後退による税収不足で財政危機をますます深刻化させる結果しかもたらしません。2014年4月に8%へ、15年10月に10%へ消費税を引き上げる増税阻止のたたかいとともに社会保障改悪のたくらみを実行に移させない世論と運動を広げるときです。消費税増税に頼らず、財政危機打開・社会保障充実の政治への転換こそがなにより求められます。


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