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2012年7月12日(木)

主張

水俣病申請打ち切り

救済の道閉ざす期限撤回せよ

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 野田佳彦政権が水俣病被害者救済特措法にもとづく救済策の申請受け付けを7月末で打ち切ろうとしていることに、水俣病被害者団体が猛反発しています。

 熊本県や新潟県の水俣病被害者団体が申請打ち切りの撤回と被害者全員救済を求めて暑いなか、国会前で波状的に座り込み行動を行っています。7月末で救済の申請が打ち切られれば多くの潜在被害者を切り捨てることになります。「加害者である行政がかってに期限を切るというのは許されるのか」という被害者の訴えを正面から受け止め、政府は申請打ち切りを撤回すべきです。

多くが切り捨てられる

 政府は都市部でのチラシ配布や新聞広告などで申請を呼びかけているといいますが、いまなお申請は増え続け、申請者は5万人を超えています。しかし被害者は10万人とも20万人ともいわれます。政府が進めている一般的な宣伝ではこうした潜在被害者を掘り起こすには不十分です。多くの人は自分の症状や体調の悪さを水俣病のせいだと思っていないことなどが背景にあるからです。

 水俣病は、熊本県と鹿児島県にまたがる不知火海沿岸や新潟県の阿賀野川に、加害企業のチッソや昭和電工が垂れ流した有機水銀によるものです。汚染された魚介類を食べた住民が、感覚障害、運動障害、言語障害、視野狭窄(きょうさく)などを引き起こした公害病です。

 水俣病が公式に確認されてから56年たつのに被害者の全容さえつかめていないのは、政府が被害実態を把握する努力を怠ってきたからです。不知火海沿岸や阿賀野川流域のすべての住民の健康調査を実施してこなかった政府の責任は重大です。

 民間の医師と看護師など全国から参加した医療従事者が6月に不知火海沿岸で行った3回目の大規模検診は、約1400人もの住民が受診しました。自治会を通じて各戸に検診案内状を配布し、山間部にまで足を運んだ、関係者の地をはうとりくみの結果です。こうしたとりくみこそ政府はやるべきです。

 検診が水俣病被害者の新たな掘り起こしにつながるのは、約1400人の受診者のうち、87%が水俣病と診断されたことをみても明らかです。救済対象地域外に住む住民の多くも水俣病と診断されました。救済を対象地域に限定している特措法の不合理は明らかです。

 30歳代の人たちが水俣病と診断され、1969年以降に生まれた人を救済対象から除外した特措法の欠陥もうきぼりになりました。地域と出生年などで被害者を差別する理不尽さが明白になった以上、救済申請打ち切りを撤回し、政府の責任で住民健康調査を行い、被害実態を把握すべきです。

政府は救済義務果たせ

 加害企業のチッソや昭和電工と並んで、水俣病の発生・拡大を野放しにしてきた政府の責任は、2004年の最高裁判決での指摘をみても明らかです。加害責任をともに負っている政府が、救済されるべき潜在被害者の救済申請の権利を、期限を区切ることによって奪うのはとうてい許されることではありません。

 政府が「あたう限りの救済」というなら、7月末の申請打ち切りを撤回し、潜在被害者すべてを救済する道に進むのが道理です。


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