2012年6月12日(火)
きょうの潮流
1月の本欄で紹介したドイツの映画「第4の革命」が再び上映されます。化石燃料から太陽光、風力、水力など再生可能エネルギーへの転換の取り組みを取材したドキュメンタリーです。各地で上映会が開かれます▼映画の配給会社と「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」との共催です。長い名前ですが中小企業経営者の集まりです。小田原の老舗「鈴廣かまぼこ」の鈴木悌介副社長が世話役代表を務めると言えば思い当たる人も▼上映会は16日の滋賀県彦根市を皮切りに30カ所で予定されています。発表記者会見でこの映画に着目した理由を聞くと、鈴木氏は「エネルギーのことを自分の問題として考えるようになると思うから」と期待を込めました。「料金さえ払えばいくらでも使えると思っていた電気を見直すきっかけになるのでは」と▼鈴木氏たちの団体が再生可能エネルギーの普及にとりくんでいるのは、エネルギーの地域ごとの自給体制の実現が目標です▼さらには日本経済の転換も視野にあります。「再生可能エネルギーは地域の経済的自立にも役立ちます。町の板金屋さんにも仕事が回ります。仕事と雇用を増やして、中央集権的なゆがんだ経済の改革にもつなげたい」▼経済人と言えば“企業が海外に逃げれば空洞化して食えなくなる”と世論を脅し、原発再稼働を政府にけしかける人たちだと思っていました。鈴廣は昨年夏、電力使用量を前年比約25%カットしたそうです。国民経済を大事にしてこそ経済人でしょう。