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2012年6月9日(土)

きょうの潮流

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 今週、また星の話を書こうとは思いもよりませんでした。太陽面を横切った金星に続いて、きょうは火星です▼1950年の出版以来、世界中で読み継がれている『火星年代記』の作者、レイ・ブラッドベリさんが亡くなりました。91歳。アメリカのイリノイ州に生まれ、少年時代から街角で新聞を売りながら作家の仲間入りを夢見ていました▼『火星年代記』は、空想科学(SF)小説とはいえ、派手な冒険や驚異の科学技術が登場するわけではありません。むしろ、静かで詩情漂う描写が目立ちます。1999年から2026年までのできごとを、次のように記します▼ゆたかな文化・文明をきずいていた火星人は、地球の探検隊がもってきた病気にかかり、ほぼ全滅してしまう。やがて、火星は地球人、とくにアメリカ人の植民地と化す。ところが、地球で起こった戦争に勝つため、アメリカ人たちはいっせいに引き揚げる…▼火星をめざすのは、もうけがねらいの人々だけではありません。差別からの解放を願う黒人や、言論の抑圧とたたかう人も。アメリカの人種差別や「赤狩り」に対する作者の目が、鋭く光ります。最後に、核戦争で滅んだ地球から逃れた一つの家族が、火星におりたちます。汚れた地球文明にかわって「新しい生き方の基準」をつくろうとする、新しい“火星人”の誕生です▼火星探査の話ももちあがっている今ですが、足元の地球を滅ぼさないようなにをすればいいのか。『火星年代記』が読み継がれるはずです。


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