「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年5月30日(水)

主張

原子力委裏会合

まだ推進側に立つというのか

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 東日本大震災による東京電力福島第1原発の重大事故を受け、原子力政策の見直しを進めている政府の原子力委員会が、電力関係者などを集めた裏会合をたびたび開き、報告書の書き直しまで行っていたことが明らかになりました。書き直しが原発を推進する「原子力ムラ(村)」の意向を反映していたのは明らかです。

 福島原発事故を受けてもまだ原子力委員会が原発推進の立場を変えず、電力会社などと裏会合まで重ねていたとはまったく言語道断です。原発推進の政策と体制を根本から改めることが、いよいよ避けられません。

原発推進派が活動牛耳る

 原子力委員会は原子力政策を策定する国の機関で、かつては大臣が責任者でした。いまは国会の同意を得て首相が任命する5人の委員で構成されています。もともと原発推進の立場で、事務局として実際の仕事をしている内閣府には電力会社や原子炉メーカーから多くの人材が出向(天上がりなど)しており、事実上原発推進派が牛耳っています。

 福島原発事故のあと原子力委がはじめた原子力政策(原子力政策大綱)の見直しも、原発からの撤退を目指すものではありません。今回書き直しが明らかになったのは、いったん原子炉で燃やした核燃料を再処理して新しい燃料として使う核燃料サイクル政策の見直しについての報告ですが、核燃料サイクルももともと、原発が運転を続けることが前提です。

 これまで政府は、使用済み核燃料はすべて再処理することを掲げ、青森県六ケ所村に再処理工場を建設しています。実際には計画通り進まず、「全量再処理」の破綻は明らかです。このため原子力委員会の見直しも、使用済み核燃料は再処理せず地中に保管する「直接処分」を検討対象のひとつにしました。電力業界などが参加した裏会合では、こうした中身でさえ再処理を推進してきた電力業界などにとっては都合が悪いと、「全量直接処分」の欠点を強調する内容に書き換えられたのです。

 原子力委員会は「書き換え」は認めていませんが、裏会合を開いてきたことは認め、その回数は「20回以上」だったとしています。再処理をするかどうか問題になっているのに、その推進を求める電力関係者などとこれほどの回数の裏会合を重ねることは大問題です。裏会合はただの「勉強会」だったとの言い訳は通用しません。

 もともと福島原発事故の深刻な事態をまともに受け止めるなら、原子力委員会は自ら原発を推進してきた責任を明確にすることが求められます。それを小手先の政策の見直しでお茶をにごそうとすること自体許されません。

政治の責任で原発撤退を

 こうした原子力委員会と原発推進勢力との癒着をただそうともせず、原発からの撤退を決断しようとしない野田佳彦政権の態度こそ問題です。裏会合が表面化したあと、藤村修官房長官は「専門的なデータや知見の提供を求めるのは問題ない」と擁護しましたが、裏会合を見て見ぬふりですますのは許されません。

 政府のエネルギー基本計画の見直しも大詰めです。原発からの撤退を決断し、国民が安心して暮らせる条件を整えることこそ政府の最低限の責任です。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって