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2012年5月27日(日)

主張

消費税増税

日本経済を肺炎にしてしまう

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 「最近はいろいろなことを忘れてうそで顔を塗り固めている方が総理大臣だったころ、消費税を上げ、医療費を引き上げ、かぜから治りかけていた日本経済を肺炎にしてしまった。同じことをまた繰り返そうとしている」

 2005年1月の衆院本会議で民主党から代表質問に立った野田佳彦議員・現首相の発言です。当時の小泉内閣がすすめようとしていた所得税・住民税の定率減税の半減を厳しく批判しました。

天につばする発言

 このとき野田氏がひきあいに出したのは1997年、橋本龍太郎首相(故人)ひきいる連立政権が強行した消費税の2%増税など9兆円負担増です。それが、回復しかけていた日本経済に冷水を浴びせて大不況に陥れました。

 当時は9兆円でも大変な事態になったのに、いま政府は15年までに20兆円もの負担増を国民に押し付けようとしています。政府の試算によると消費税率の5%増税だけで負担増は13・5兆円に上ります。さらに年金の減額、子ども手当の削減、年金・医療・介護の保険料値上げなど連続負担増が6・6兆円程度に及びます。

 衝撃は97年の倍以上です。05年に野田氏が追及した定率減税の半減は1・65兆円の負担増で、それと比べると10倍以上のショックです。「同じことをまた繰り返そうとしている」という野田発言が、そのままいまの野田首相にはねかえってきます。「天につばする」とはこのことです。

 22日、衆院の「社会保障と税の一体改革」特別委員会で日本共産党の佐々木憲昭議員が、05年の野田発言をとりあげました。野田首相は「その教訓は、かぜを引いているときにはやっちゃいけないということだ」と答えました。だから消費税増税法案の付則に「経済状況の好転」を増税実施の条件にすると盛り込んだ、と。

 しかし、「経済状況の好転」といっても、それを判断するのは政権です。安住淳財務相はいまのような経済状況なら消費税増税は可能だと答えています(2月22日、衆院予算委)。

 最近の日本経済は復興需要やエコカー補助金などで成長率はプラスになっているものの、内需の6割を占める家計は所得の低迷で冷え込んだままです。

 05年に野田氏が、経済は「かぜ」を引いていると示すために自公政権に突きつけたのは「雇用者報酬」(労働者への分配総額)の低下です。「雇用者報酬はいまもっと低いレベルで推移している中で、もっと厳しい景気認識のもとで慎重な判断が必要じゃないか」(05年2月、衆院財務金融委)―。「雇用者報酬」は96年度の274兆円、97年度の279兆円に対して04年度は252兆円、05年度は254兆円でした。

中止するしかない

 確かに「低いレベル」です。しかし現在はどうかというと、10年度、11年度ともに244兆円と、さらに落ち込んでいます。もっともっと「厳しい景気認識」と「慎重な判断」が必要です。

 いま国民の家計は「かぜ」を引き熱を出して寝込んでいます。そういうときに冷水を滝のように浴びせかけたら、それこそ肺炎では済みません。かつての野田発言に照らしても、消費税増税など巨額の国民負担増は中止するしかありません。


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