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2012年4月29日(日)

改憲派の相次ぐ草案

法整備と並行で議論要求

憲法審査会の運営に壁

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 改憲派が相次いで改憲草案を取りまとめる背景には、衆参両院の憲法審査会が活動を開始していることがあります。改憲各派は、憲法審査会の始動を受け、「早く本筋の改憲論議に入りたい」という衝動を強めています。

 しかし、改憲手続き法では、2010年の国民投票法の施行時までに、投票年齢をめぐる関係法令や公務員の国民投票運動規制について整備するはずでした。ところがこれらの条件整備は、まったく手つかずです。そのため実際には、憲法審査会の運営は大きな壁にぶつかっています。

 未完成だった国民投票法を整備する期限を過ぎてしまったことは、本来であれば投票法の存続そのものが問われる事態です。国民投票が実施不能な状況のままで、改憲原案の議論を進めていいのかという問題を改憲派も認めざるを得ません。

 しかし、改憲派議員からは、こうした矛盾を受けて、「それらの法整備と並行で改憲原案の議論を始めろ」という要求が相次いでいます。改憲案を各派が次々と発表するのも、改憲ムードを盛り上げて、なし崩し的に改憲論議を「軌道」に乗せようという思惑があります。

事実上の大連立

 民主党が、自民党政治に完全に逆戻りし、事実上の大連立政治が横行していることも、改憲派が改憲論議を俎上(そじょう)に載せる政治的条件が強まっているとみている要因です。

 たちあがれ日本や、みんなの党はもともと自民党に出自があり、自主憲法制定論や天皇元首化をはじめとする復古路線、日米同盟を「基軸」に9条を廃棄することが共通項です。国民新党も「自主憲法創設へ改憲論議の再開促進」をマニフェストに掲げています。

 民主、公明もそれぞれ改憲の方向を明確にしており、国会では改憲を掲げる政党の議席が9割を占める状況となっています。

 各党は、5月1日の新憲法制定議員同盟の大会に結集し、マスコミも動員して改憲論議の盛り上げに気勢をあげる計画です。

橋下・維新の会

 二大政党政治の行き詰まりの中、巨大メディアが「既成政党ダメ」論をふりまいているもとで、橋下・「大阪維新の会」が国政進出を狙っています。「維新の会」は、「決定できる民主主義」をアピールし、二院制廃止をはじめ「統治機構改革」を大きく押し出しており、改憲論にはずみをつけています。

 財界勢力も、二院制見直し論を繰り返しています。

 一方、震災復興を求め、国民的絆を強めようとする世論と運動、原発再稼働に反対し「原発ゼロ」を目指す運動、環太平洋連携協定(TPP)参加の策動から日本の食糧や医療を守るたたかい、沖縄の基地撤去の運動など、国民的たたかいが大きな広がりを見せています。政治に民意を反映させるため、選挙制度の抜本改革を求める世論も広がっています。

 右翼的・保守的色彩を前面に出し、強権政治を狙う改憲策動は、国民との矛盾をさらに広げることにしかなりません。 (中祖寅一)


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