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2012年4月21日(土)

主張

水俣病申請打ち切り

被害者全員救済の責任果たせ

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 政府が7月31日で水俣病被害者救済特措法にもとづく救済策の申請受け付けを打ち切ると決めたことに、被害者団体から反発の声がふきだしています。

 10万人をこすといわれる潜在被害者のうち、救済策の申請をおこなったのはいまだに5万人程度にしかなりません。被害者がまだ数多くいるというのに、政府が救済策の申請受け付けの期限を一方的に決め、救済の道を閉ざすのは絶対に許されません。被害者全員が救済されるまで力をつくすことこそ政府の努めです。

理不尽な「線引き」

 水俣病は、熊本県と鹿児島県にまたがる不知火(しらぬい)海や新潟県阿賀野川に加害企業のチッソや昭和電工が垂れ流した有機水銀を魚介類が体内に蓄積し、それを食べた住民が、感覚障害、運動障害、視野狭窄(きょうさく)、言語障害などを引き起こした公害病です。

 水俣病が公式に確認されてから55年もたつのに、公害健康被害補償法(公健法)で救済されたのは約3000人にすぎず、1995年の政治解決で対象になったのも約1万1000人です。いま救済特措法にもとづく申請が増え続けているのは、救済すべき潜在被害者がまだまだたくさんいることを示しています。救済が必要な潜在被害者が多くいるのに、不知火海沿岸や阿賀野川流域の住民健康調査など、被害の全容解明のための実態調査を実施してこなかった政府の責任が問われています。

 問題は政府が被害者を幾重にも差別・選別する線引きをおこなっていることです。特措法で対象とされた地域以外の山村などでも、民間の医療従事者らによる献身的な検診で水俣病と診断される住民が数多くでています。昔から行商人が売り歩く魚を食べて水俣病となったのです。対象地域とそれ以外にわける特措法の線引きそのものが破綻している以上、地域による差別はやめるべきです。

 救済対象を加害企業が有機水銀の垂れ流しをやめた1968年12月以前に対象地域に1年以上居住した人に限った線引きも破綻しています。69年以降に生まれた人を対象外にしているのも、蓄積した有機水銀の影響を受けているとの臨床疫学的研究で破綻が明らかになっています。

 救済策の申請も差別的で、対象地域外の人には不知火海周辺の魚を食べた証明(漁協加入証明)を要求しているのも理不尽です。

 水俣病の発生・拡大を野放しにした政府の責任は2004年の最高裁判決で指摘されたことです。政府には被害者全員を救済する義務があります。「あたう限りの救済」と政府がいうなら、地域と出生年などによる被害者の差別・線引きをやめるべきです。

共産党の四つの提案

 日本共産党の市田忠義書記局長は16日の記者会見で、被害者全員を救済するために必要な四つの提案を示しました。(1)特措法による地域と出生年で線引きするのをやめる(2)公健法の国の認定基準を抜本的に見直す(3)被害の全容解明のための住民健康・環境調査を行う(4)特措法にもとづく7月31日の申請打ち切りを撤回する―。四つの提案は水俣病被害者が求める要求そのものです。

 政府は救済策の申請打ち切りの決定をまず撤回し、被害者全員の救済をめざすべきです。


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