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2012年4月12日(木)

主張

大飯原発再稼働

“やらせ”では信用できない

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 原発の運転再開に差しさわりがないよう、もっともらしい「基準」を作り、それに「適合」したからといって再稼働を認める―これを“やらせ”といわず、なんと呼べばいいのでしょうか。関西電力大飯(おおい)原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働をめぐる野田佳彦政権の対応です。

 「基準」に適合していると正式に決定すれば、枝野幸男経済産業相を福井県へ派遣し、地元の説得を本格化する予定です。原発の安全とは無縁な“やらせ”で決めた再稼働を、住民と地元自治体に押し付けることは許されません。

安全強化と呼べない

 野田首相など4閣僚の会合で新しい「基準」をつくるといいだしたのが3日、その3日後には「基準」を決め、さらにその3日後には関西電力が提出した「計画」にもとづき「おおむね適合」と判断してしまう。拙速としかいいようのない野田政権の対応が、文字通り「再稼働ありき」であることに議論の余地はありません。

 野田内閣が持ち出した新しい「基準」なるものに、原発の安全を強化する対策がないことは明白です。「基準」が第1にあげる地震や津波に対する対策は、すでに昨年の福島原発の事故直後、政府が各電力会社に求めた非常用電源車や消防車の配置で実施済みだという判断です。第2の「基準」の、福島原発のような地震や津波で重大事故が起きないか確認するというのも、政府は「ストレステスト」の1次評価だけで合格としています。「基準」に値しません。

 第3の「基準」として持ち出した原子力安全・保安院が求めた安全対策を実施するというのも、なんと関電が「計画」を提出すればそれでオーケーです。「計画」は、常設の非常用発電機や、事故のさい原子炉の圧力を低下させるフィルター付きのベント設備、事故の対応にあたる免震事務棟の設置などはいずれも、いまから3年後の2015年度と、先の話です。「計画」だけでは安全性は強化されません。

 こうしたいいかげんな「基準」で、再稼働が決められたのではたまりません。政府は「再稼働ありき」の態度を改め、福島原発事故の原因追究と、その教訓を生かすことにこそ全力をあげるべきです。

 原発の再稼働を持ち出す根拠として、電力供給の「不安」を持ち出すのも根拠がありません。関電は原発が停止したままこの夏が一昨年並みの猛暑になれば2割程度の電力不足になると試算しますが、他の電力会社からの融通や大口の需要家を中心にした節電などの対策を十分検討したものではありません。客観的な根拠も示さず電力不足を言い立てるのは、再稼働のための悪質な脅迫そのものです。

地元の同意は不可欠

 原子力発電所がいったん事故を起こし、放射性物質が拡散する事態になれば、広い範囲で住民が重大な被害を受けることは福島原発事故で浮き彫りになりました。停止中の原発の再稼働を言い出すなら、被害が予想される広範な住民に説明し同意をうるべきです。

 被害想定も見直し、これまで安全協定を結んでいる自治体だけでなく、被害が予想される自治体と住民に説明を尽くすべきで、それもおこなわず再稼働を押し付けるなどというのは、絶対に許されることではありません。


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