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2012年4月10日(火)

きょうの潮流

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 災害時に避難を遅らせる、あるいは避難行動に移させない「正常化の偏見」という人の心の動きを紹介した片田敏孝著『人が死なない防災』(集英社新書)は、虚を突かれた感じがします▼著者は04年から岩手県釜石市の危機管理アドバイザーを務める、災害社会工学が専門の群馬大学大学院教授です。正常化の偏見とは、「自分は大丈夫」と一生懸命思い込もうとする心の作用です▼例えば避難勧告が出た時、「自分は死ぬかもしれないから逃げる」と発想する人は少数ではないか。それは人間というものが情報を自分に都合よく解釈するからだ。交通事故で亡くなる5000人に自分は入るとは考えないが、宝くじの当選者5000人には入るのではないかと考えるように、と▼片田氏の災害教育の成果の一つとして、今度の大地震・津波で大槌湾近くの小中学校の生徒たちが、お年寄りを介助し、保育園児が乗ったベビーカーを押しながら懸命に避難した様子を紹介しています▼きっかけはグラウンドの地割れを発見したサッカー部員の「津波が来るぞ! 逃げるぞ!」の大声でした。みんなが駆け出し、訓練どおり避難所へ。がけ崩れに気づいてさらに高台へと逃げました▼この小中学校はハザードマップ(災害予測地図)の区域外でした。だから片田氏は「想定」にとらわれず主体的に行動せよ、といいます。なぜなら「誰にとっても予想もしたくないことが起こること」が災害の本質だからだと。防災を見直すヒントになりそうです。


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