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2012年3月20日(火)

主張

アフガン情勢泥沼化

外国軍の存在こそが問題だ

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 アフガニスタンに9万人の大軍をおく米国が次々と難題に直面しています。戦争はヤマを越えたとしてきたオバマ米大統領のアフガン戦略に狂いが生じています。

 同大統領はキャメロン英首相とともに14日、2014年末までに治安権限をアフガン側に全面移譲する方針を「再確認」し、「責任あるやり方で任務を完了する」と表明しました、しかし、その過程はいま一段と不透明です。困難は“想定外”ではなく、アフガンで外国軍が戦闘を続ける限り、避けられないものです。

米国に難題次々

 アフガン南部で11日未明に米兵が民家を襲撃し、銃を乱射、放火するなどして、幼児を含む16人の市民を殺害しました。事件はアフガン国民に大きな衝撃を与えました。2月下旬に米兵が基地内でイスラム教の聖典コーランを焼却し、アフガン国民が反米感情を募らせていたさなかのことでした。

 米政府は事件を謝罪しながらも、既定の戦略に影響を与えないよう急いで幕を引こうとしています。重大犯罪であるうえ、住民らが共犯者の存在を主張し、カルザイ政権も疑いを示したにもかかわらず、米政府はアフガン側による調査も認めず、一方的に容疑者を米本国に送還しました。

 米側の姿勢がアフガン国民の反米感情に油を注いでいます。カルザイ大統領は米国に対し、農村部に展開する米軍は基地に引き揚げ、治安権限の全面移譲は13年中に前倒しするよう求めました。同大統領はこれまでも、米軍が夜間に民家に踏み込む掃討作戦をやめるなど住民保護を要請してきており、今回の一連の事態を受けて米国との亀裂が深まっています。

 カタールに交渉窓口を開設し、米国との交渉に意欲を示していた反政府武装勢力タリバンが、交渉の中断を決めたことも、米戦略を難しくしています。タリバン側は、直接にはタリバン兵捕虜の解放が進まないことを理由にあげているものの、アフガン国民の反米感情の高まりが影響していることは否定できません。

 オバマ政権のアフガン戦略は、タリバンを軍事的に弱体化させながら和平交渉を進め、並行して治安権限を徐々にアフガン政府軍に移譲しながら段階的に撤退することです。しかし、戦略は要素のそれぞれが困難に直面しています。

 オバマ大統領は戦略を見直さず、5月には、アフガンに派兵している北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議を開いて、治安権限の主体を13年中にアフガン側に移譲することや、15年以降の一定規模の米軍の駐留継続に道をつけようとしています。

戦争に終わりを

 米軍撤退によって、アフガンがタリバンの“天下”になっては元も子もないというのが、米政権の立場です。しかし、アフガンの将来を米国が左右しようとすることにこそ、米戦略が困難にぶつかる原因があります。

 アフガンで米国が戦争を開始して11年、ソ連の軍事介入から33年になります。武力は犠牲と混乱をもたらし、国民は長い戦争に疲れ果てています。紛争を終わらせるには政治解決しかありません。その条件をつくるためにも、国際社会はアフガンの主権を尊重すべきであり、外国軍の一刻も早い撤退が不可欠です。


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