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2012年3月12日(月)

きょうの潮流

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 津波だ、逃げろ―。家族が2階に駆けあがる。水が押し寄せ、あっという間に階下が切り離され、漂流し始める。やがて「洗濯機の中にいるように横に縦に(家が)回転し始めた」▼生死をさまよう生々しい体験を集めた証言集があります。『小さな町を呑(の)みこんだ巨大津波』。宮城県の南にある山元町。その「やまもと民話の会」が聞き書きしたものです▼会の仲間が命を落とし、家を流された人もいました。しかし、「この津波を語りつぐことが私たちの使命」と、平均75歳の6人で避難所を訪ね歩きました。「打ちのめされ思い出したくないという人、せきを切ったように話す人。聞く私たちも涙、涙で」と会員の増澤真理子さん(81)。昨年8月に第1集が完成し、2集と合わせ、すでに8千部余を頒布(1部500円)。来月に第3集が発刊予定です▼穏やかな町を襲った巨大津波は、町の半分以上の世帯を浸水させ、600人余の命を奪いました。特産のイチゴも9割の農家が壊滅状態。それでもこの町の震災報道は多くありません▼ここで何があったか、記録する意義は大きい。それだけではありません。「海の近くにいながら、こんな津波がくるとはだれも思ってなかった。私もそう。だからその怖さを伝えなきゃ」。会の代表で、いまだ避難生活をおくる庄司アイさん(77)は話します▼あの日から1年。一瞬にすべてをのみ込んだ巨大津波の実像と教訓をいかに伝えるか。後世への貴重なメッセージが、そこにはあります。


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