2012年3月3日(土)
グアム移転4700人に縮小 米軍司令官
先行実施の保証なし
ウィラード米太平洋軍司令官が1日、在沖縄米海兵隊のグアム移転規模を約4700人に縮小する計画を公式に明らかにしました。在日米軍再編計画見直しの日米合意に基づいて、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設」と切り離し、グアム移転を先行実施するためですが、それが進む保証はありません。
「グアムは沖縄の海兵隊を受け入れる準備ができていない」。米軍準機関紙「星条旗」2月28日付(電子版)は、グアムへの移転規模が約4700人になっても受け入れに何年もかかると指摘する記事を掲載しました。
その理由として、(1)住民の反対運動でやり直しを迫られている海兵隊実弾射撃訓練場の選定に最低でも今後2年、建設にはそれ以上かかる(2)約4700人の海兵隊員とその家族のための下水処理施設の整備の方法・時期が決まっていない―ことを挙げました。
普天間「移設」に進展がないなどを理由に、2012米会計年度のグアム移転予算を認めなかった米議会も態度を変えておらず、今後の予算承認も定かではありません。
ウィラード司令官は、グアム移転に関し、若い兵士の管理監督のために司令部機能を沖縄に残すべきだとの見解も示しました。これは、たとえグアム移転が実現しても1万人規模の海兵隊部隊が残り、犯罪や事故の温床はなくならないことを認めたともいえます。
さらに、同司令官はこの日の証言で、普天間基地に代わるキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)への新基地建設を「最善の選択肢」だと表明。沖縄こぞっての反対で行き詰まりが明白な計画に固執する姿勢を改めて示しました。
グアム移転も、普天間「移設」も破たんに直面している今、在日米軍再編計画は見直しではなく、白紙撤回し、普天間基地の即時閉鎖・返還をはじめ「基地のない沖縄」の道に踏み出すべきです。 (榎本好孝)