2012年2月23日(木)
きょうの潮流
「丸い地球の水平線に…」。なつかしい「ひょっこりひょうたん島」の主題歌です。すでに古代ギリシャの学者アリストテレスは、地球が丸いと考えていました▼地球を表す外来語に、「ガイア」や「テラ」があります。もともと、ガイアはギリシャ神話の、テラはローマ神話の、大地の女神です。だから、なにより母なる大地としての地球をイメージさせます▼英語の地球「アース」も、大地や地面を意味します。しかし、英語の地球にはもう一つの言葉があります、「グローブ」です。「球」も意味するグローブは、丸い地球にぴったりです▼水平線のかなたに「何かがきっと待っている」(ひょっこりひょうたん島)とわくわくさせるけれど、宇宙からみれば、地表に限りある丸い地球。グローバル(地球規模の)という言葉は、グローブから枝分かれして生まれました▼北海道標茶(しべちゃ)町の池田裕二町長が、経済のグローバル化をおしひろげる環太平洋連携協定(TPP)に異を唱えています。“グローバルとは、(自然や文化など)多様性のある世界ですべてが平準化されることではない。全体としても、地域ごとにも、限界があるという意味でのグローブのはず”(本紙1月17日付)と▼日本には、肥えた土地やゆたかな水にめぐまれた日本ならではの農業がある。それを守り生かして、限りある資源や食料を世界中で補い合う―。池田さんが思い描く、本当のグローバル化の姿でしょう。きっと、大地の女神もほほ笑むに違いありません。