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2012年2月22日(水)

主張

ギリシャ追加支援決定

域内協力で危機克服の展望を

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 難航していたギリシャへのユーロ圏諸国の追加支援が決まり、同国の無秩序なデフォルト(債務不履行)は当面、回避されました。しかし、ギリシャ危機が解決したわけではなく、国民に犠牲をしわ寄せする緊縮策も明らかに限界にきています。危機克服には欧州が統合の基本に立ち戻り、協力強化を基礎にして踏み込んだ対策の枠組みをつくることが必要です。

容赦ない緊縮策

 欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会議は、国際通貨基金(IMF)とともに1300億ユーロの対ギリシャ第2次支援を決め、民間銀行団も借金の半額超を棒引きします。ギリシャ側が厳しい緊縮を受け入れることが条件です。決着が長引いたのは、ギリシャが緊縮策を実行できるかを強く疑問視する見方があるためです。

 ギリシャの緊縮策は容赦ありません。官民で雇用削減が進み、青年の失業率は48%にのぼります。最低賃金は今回の措置で22%切り下げられます。先週合意されるはずだった支援が先送りされたのも、緊縮策が「不十分」とされたためで、ギリシャは年金給付カットの上乗せでこれに応じました。

 ギリシャ国民が強く反発するなか、EU側はギリシャの主要政党に対し、4月に行われる総選挙後も緊縮策を実行するとの誓約を求め、内政干渉との批判も出ています。支援側のドイツとの確執も表面化しています。ショイブレ独財務相はギリシャの債務不履行の可能性に言及し、欧州単一通貨ユーロからの脱退を促したものと衝撃をもって受け止められました。

 危機に直面した国に責任を負わせるやり方は限界です。ギリシャではマイナス成長が連続3年を超え、2011年第4四半期の国内総生産(GDP)は年率マイナス7%を記録しました。これでは債務残高の圧縮も進まず、経済成長をはかることが不可欠です。

 金融取引税の導入などの投機規制を強めると同時に、危機に対応するための財政資金を域内で確保することが不可欠です。

 ユーロ危機の基本要因として、もともと輸出力の強いドイツなどと、ギリシャなど南欧との間にある構造的な不均衡が指摘されてきました。単一通貨の下では為替レートで不均衡を調整することができません。ドイツでは長期にわたって賃上げが抑えられ、保守政権の労働相さえも賃上げに支持を表明したほどです。これがドイツ企業の競争力をいっそう高め、不均衡を促進しています。

 ドイツは経済力にふさわしい負担を分担すべき特別な役割をもっています。メルケル独首相は貿易黒字国が赤字国の債務を保証するユーロ共通債の導入を「ノーだ」としています。しかし、シュミット元西独首相は独社会民主党の大会で、「最終的に(欧州)共通債は避けられない。ドイツは自国本位の立場からそれを拒否すべきではない」と批判しました。欧州統合の経緯を身をもって知る長老の発言は重みがあります。

欧州統合に向けて

 欧州の統合はもともと、二つの世界大戦の発火点となったドイツを抑え込み、欧州の平和を確保するために構想、推進されてきました。そこには明確な政治意思が働いています。ユーロ危機を乗り越えるうえでも、統合に向けた協力のあり方が問われています。


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