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2011年11月30日(水)

主張

年金減額

老後と地域経済への打撃だ

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 民主党政権は、2012年度の公的年金支給額の減額方針を固めました。実行されれば11年度(0・4%減額)に続くもので、民主党政権になって2年連続減額となります。前年の物価動向に連動させて年金額を決める「物価スライド」の仕組みを機械的に適用し、物価が下落したから減額するとしています。児童扶養手当、障害児福祉手当などにも影響します。被災地の人たちも例外なく対象にされます。年金をくらしの支えにしている人たちへの容赦のない冷たい仕打ちは中止すべきです。

くらしの実態無視

 04年に小泉純一郎・自公政権が強行した年金制度改悪で、物価が上がっても年金額を据え置く一方、物価下落時は減額する仕組みが導入され、引き下げが繰り返されました。今回の連続引き下げは、民主党政権に代わっても国民に冷たい政治がただされていないことを示すものです。

 深刻なのは、12年度の減額規模が大幅になる恐れがあることです。11年の物価下落分(0・2%程度)を減らすだけでなく、物価下落時に年金額を引き下げずに生まれた00年度〜02年度の差額(2・5%分)を12年度から3年程度かけて上乗せ(年0・8%程度)して差し引くというのです。合計すれば1%程度という過去最大の引き下げとなるだけに重大です。

 もともと年金の支給額に消費者物価指数を一律に当てはめること自体、実情を踏まえないやり方です。下落幅が大きかったのは、デジタル家電など一部の品目で、高齢者の日常生活とは関係の薄いものです。医療・介護の負担や保険料など高齢者のくらしに直結するものは軒並み値上がりしました。

 政府の行政刷新会議(野田佳彦議長)の「政策仕分け」で過去の年金額据え置きを“もらいすぎ”と攻撃したことも問題です。当時据え置きになったのは、「年金額引き下げは消費マインドを冷やし、景気に悪影響を及ぼす」ためでした。その後の長期不況などで経済状況は深刻になっており、“もらいすぎ”と非難することは実態を無視した議論です。

 公的年金は、地域経済にも大きな比重を占めています。05年の調査では、県民所得に占める公的年金の総額が10%を超える道府県は37にのぼり、「高齢者を安定した消費者層にし、地域における消費をはじめとした経済活動に寄与」(厚生労働白書08年版)と強調していました。年金額の切り下げは高齢者の購買力を衰えさせ、地域経済に深刻な打撃を与え、景気をさらに悪化させる悪循環に拍車をかけることになります。

低年金対策が急務

 日本の年金は、“もらいすぎ”どころか、支給額が低すぎることこそ大問題です。国民年金では、保険料を40年間払い続けた満額でも月額6万5741円しか支払われず、平均5万円台にすぎません。これでは生活できません。

 いま必要なことは、年金額を切り下げることではなく、くらしをささえる年金制度の改善・充実です。低年金・無年金者への対策が急がれています。民主党政権が「社会保障・税一体改革」のなかで実行しようとしている年金支給開始年齢の引き上げなどの大改悪は絶対に行うべきではありません。


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