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2011年11月13日(日)

きょうの潮流

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 フィギュアスケートの鈴木明子選手が演技に用いた「ハンガリー狂詩曲」。鐘の音をピアノで模する「ラ・カンパネラ」…▼数多いフランツ・リストの作品で、いちばんよく聴く曲は「ピアノソナタ・ロ短調」です。とくに、切れ目ない曲の終わりの方にひかれます。ためらいがちに進むピアノ独奏。時に深く考え込み、時に夢見るように。気づけば、本当にすべてが夢であったかのように、音はいずこともなく消えている▼ことしが生誕200年のリストは、時代の子でした。当時のヨーロッパ思想から、大きな影響をうけています。たとえば、フランスのサン・シモンの思想を支持した、といいます(福田弥『リスト』)▼空想的社会主義のサン・シモンの名は、エンゲルスの『空想から科学へ』でもおなじみです。「貧困にあえぐ大多数の階級のために」「地球の平和的開発」―。そんなサン・シモン主義を知り始めたころでしょうか。パリにいたリストは、1830年に起こったフランス7月革命に刺激され、未完に終わる「革命交響曲」を書き出します▼リストは、「労働者の合唱」という曲もつくっているそうです。1840年代の作品です。人道主義を唱えるフリーメーソンの会に入った彼が、会の催す失業者救済の演奏会用に作曲しました▼革命と反革命が相次ぐときを生き、多感な青年期に、社会の中での音楽家の役割を果たそうとつとめたリスト。音の消え入る「ピアノソナタ」で、彼は見果てぬ夢を奏でたのかもしれません。


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