2011年11月6日(日)
きょうの潮流
戦前のドイツで、イタリアとの友好を記念する切手が発行されました。独裁者2人の顔が並ぶ図です▼右のヒトラーの横に、ナチスの党章だった卐印とワシの絵。左のムソリーニの横には、刃物のおのの絵。柄にあたるところを細い棒で囲って束ねたおのです。ラテン語で「束」を意味する「ファスケス」とよばれ、古代ローマの権威の象徴でした▼ファスケスは、イタリア語では「ファッショ」です。やはり、束や団結の意味です。ムソリーニのファシスト党は、あのおのを党章に用いました。ファシズムの語源をたどれば、そこに行き着きます▼いま日本では、「ハシズム」という言葉が聞かれます。語源は橋。大阪の橋下知事のやり方や考え方をさします。知事は、「日本の政治のなかでいちばん重要なのは独裁ですよ」といってはばかりません▼語るだけではありません。知事が教育の目標を定め、2年続いて5段階の最低と評価された教師を辞めさせる、教育基本条例案。2年続いて評価づけが最低の職員の首を切る、職員基本条例案。知事にとっての“いい職員”“いい教師”をはべらせ、行政も教育も意のままに、というしくみです▼橋下氏、こんどは大阪市長選へ。市長選に名乗りをあげていた日本共産党の前市議、渡司(わたし)考一さんが立候補をとりやめました。橋下氏はごめんの、反ハシズム戦線。渡司さんは、「人生でいちばん重い決断」といいます。ハシズムがはびこれば、21世紀日本版ファシズムが興るかもしれないのですから。