2011年10月31日(月)「しんぶん赤旗」
民主のTPP論議
「推進の立場からの意見出てこない」
野田佳彦首相が参加表明しようとしている環太平洋連携協定(TPP)。民主党の「TPPを慎重に考える会」の会合(27日)から出てきた反対派の議員が言いました。
「こっちはこれだけ勉強しているのに、推進派は党の経済連携プロジェクトチーム(PT)に出てこないし、出てきても全く発言がない。推進の立場からの質問・意見は出たことがない。論議がないのに押しきろうというのだからめちゃくちゃだ」
経済連携PTではこの間、外務省や経産省の官僚がTPPの内容や経緯を説明し、推進派の学者を呼んでヒアリングも行いました。その中で、TPPによって農業分野のみならず、金融、保険、医療、食品安全ほか広大な社会経済領域でアメリカ型の規制緩和が進められることが、改めて浮き彫りになっています。
この点について前出議員は「(TPP交渉の作業部会が)24分野と一口にいうが、膨大な分野で、その全体をわかっている人は学者にも役人にも一人もいない。貿易の分野について少し書いたものがあるだけ」と厳しい口調です。
「論議がない」という批判を意識して、民主党執行部は「28日から議員同士の議論を行う」と強調。同日の衆院本会議前の代議士会では鉢呂吉雄PT座長が「全員の参加をいただきたい」と訴える場面もありましたが、会合に参加したのは60人程度と低調。会合後の記者会見で吉良州司PT事務局長は「今日は推進論の意見もかなり出た」と強調しましたが、賛否の割合については「賛成4、反対6」と、引き続き反対・慎重論が多数であると認めています。
民主党は11月4日には党内の意見を集約する方向です。しかし、反対派議員の一人はこういいます。「マスコミがこれだけ推進をあおっているので厳しい面もあるが、国民世論が動けば野田首相も無視はできない」