2011年10月31日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 3・11後、人気上昇中のテーマパークが栃木県那須町にあると聞いて訪ねました。「非電化工房」です▼電気をなるべく使わない生活を提唱し、非電化の機器を発明・販売しています。除湿機、冷蔵庫、バイオトイレ、手動もみすり機…▼もみすり機は電気を使わないばかりか、随時必要量だけもみ殻と玄米を分けるので、低温貯蔵のための電力も不要です。実はこの低温貯蔵用の電力は日本全体で原発1・2基分に相当します。工夫次第で生活のなかに電力消費を減らせる余地があると気づかされます▼このもみ殻を断熱材に活用し、暖冷房のエネルギー消費を極力押さえた「非電化もみ殻ハウス」の試作も見せてくれました。約4畳半の広さで、床にはちょっとしたアイデアの自然換気孔、天井には風車がファンを動かす天窓換気扇を備え、太陽電池で省エネ電球をともし、廃棄バッテリーを再生使用する徹底ぶりです▼工房代表の藤村靖之さん(67)は「非電化は節電ブームとは違う」と断ってこう話しました。「夏の節電をつらいと感じた人は多いはず。しかもお年寄りや障害者には電気が必要です。現在の電力消費量を前提にしていては問題は解決しません」▼工学博士で、元大手企業の研究室長の経歴をもつ発明家の藤村さん。今は放射線被ばくから子どもを守るために線量を計測し、自治体に除染を求める活動に大忙しです。「快適、便利、スピード」を追う電力消費拡大路線の転換を説きます。それは原発ゼロへの道と重なります。





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