2011年10月30日(日)「しんぶん赤旗」

米軍属 日本に裁判権

米当局者の見解 井上議員が指摘


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(写真)駐留軍隊の法律に関するハンドブック

 米兵とともに軍務を行う米軍属が日本など駐留国で犯罪を起こした場合、日本側に専属的裁判権があるとする見解を米当局者が示していたことが分かりました。日本共産党の井上哲士議員が27日の参院法務委員会で明らかにしました。

 日米地位協定17条では、米兵・軍属が犯罪を起こしても、「公務中」の場合は米側に第1次裁判権があります。今年1月に沖縄市内で米軍属が19歳の青年を交通事故で死亡させたケースは、「公務中」を理由に不起訴となり、5年間運転禁止という行政処分が発せられただけです。

 井上氏は、米最高裁が1960年に「軍属が平時に軍法会議にかけられるのは憲法違反」との判決を下したことを指摘。さらに、米軍法規対策当局者が2001年に出版した『駐留軍隊の法律に関するハンドブック』で、「平時における米軍属・家族に対する軍事裁判権を事実上、排除した」(別項)との見解を示していることを明らかにしました。

 井上氏は「日米地位協定と食い違っている」と厳しく追及。平岡秀夫法相は「外務当局と相談して対応したい」と答えました。

 平岡氏はまた、08年から10年の3年間、日本で犯罪を起こした米軍属の46人が「公務中」を理由に不起訴になっていることを明らかにしました。内訳は、08年16件、09年13件、10年17件です。


 『駐留軍関係法に関するハンドブック』(オックスフォード大学出版局) 『ハンドブック』で、米欧州陸軍のポール・コンダーマン外国法部副部長は、以下の解説をしています。

 米連邦最高裁判決は、平時における米国人家族および軍属に対する米国の軍事裁判権を事実上排除した。したがって、米国人家族または軍属が接受国の法に違反する犯罪を犯した場合には、実質的に接受国がそれらの者に対する専属的裁判権をもつ。





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