2011年10月28日(金)「しんぶん赤旗」

原発なしで電力足りる

来夏も含め 民間研究所が試算


 民間非営利団体の環境エネルギー政策研究所(ISEP、飯田哲也所長)は25日、稼働中の原発をすべて停止しても原発をもつ9電力会社で今冬・来夏ともに電力不足は生じないとする報告を発表しました。

 政府は7月に全原発が停止した場合、2011年夏、12年冬・夏のピーク電力が不足するとの見通しを発表しています。報告はこの見通しについて、節電を想定しない過大な需要と、真夏の定期検査や自家発電供給の打ち切りを盛り込んだ過小な供給を前提とするものだと厳しく批判しています。

 その上で、政府の見通しに対して設備を再点検して供給力をチェックし、需要も今夏並みの節電をもっと楽な方法で実施するという前提で電力需給を推計しました。その結果、来年夏の場合、政府は原発の再稼働がなければ電力は1657万キロワット不足するとの見通しでしたが、2621万キロワットの余裕があることがわかりました(グラフ)。

 電力会社ごとでは、関西電力以外のすべてで供給力が需要を上回っています。

 東電については政府の807万キロワット不足に対し、ISEPは1287万キロワットの余裕があるとして大きく食い違っています。その要因は、政府が節電をまったく考慮していないことに加え、電力会社が大口需要者と結ぶ需給ひっ迫時に電力供給を止める代わりに電気料金を安くする「需給調整契約」も発動しないからです。さらに説明できない出力低下を盛り込んでいます。供給面では、揚水発電の稼働量は今夏の半分以下、自家発電の受電は今夏より89万キロワットも減らしています。また276万キロワット分もの自社および他社受電の火力も使用可能なはずなのに、出力低下や使用しない想定です。

 電力不足となる関西電力についてISEPは、隣接する中部電力、中国電力からの融通で十分まかなえるとしています。

 報告は「原発再稼働問題と電力需給問題は切り離し、前者は安全性と社会合意により判断すべき」だと述べています。

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