2011年10月28日(金)「しんぶん赤旗」
米大統領演説 「卒業後の借金まみれ、なくしたい」
学費返済の緩和策 160万人対象
返済月額上限を引き下げ
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は26日、コロラド州デンバーの大学で演説し、「みなさんに学校に行ってもらいたい。しかし卒業して借金まみれという事態はなくしたい」と述べ、学費ローンの新たな返済緩和措置を発表しました。
同措置は連邦政府系学費ローンについて、▽2014年7月から月ごとの返済額の上限を可処分所得の15%から10%に引き下げる▽一部については実施を12年中に前倒しする―ことなどが柱。160万人の月ごとの返済額が低減されると見込まれています。
米国の大学学費はこの30年間で3倍に高騰したといわれます。米紙ニューヨーク・タイムズによると今年度、私立の4年制大学で学費の平均は年2万8500ドル(1ドル=約76円)。州立では、州内学生8244ドル、州外学生2万770ドルとなっています。卒業時点で抱えるローンは、学生1人あたり平均で2万4000ドル。学費ローン総額は1兆ドル近くと推計されています。
オバマ氏は、自身とミシェル夫人がハーバード大学ロースクールを卒業した時点で、合わせて12万ドルの学費ローンを抱え、月ごとの返済が住宅ローンの返済を上回った苦労話なども紹介。「金持ちでなくても、父親が障害者でも、一人親で食料配給券をもらっている家庭でも、教育が受けられる」という米国を再興しようと訴えました。
学費の軽減は米青年の共通の要求となっています。格差是正を求めて、全米にひろがっている反ウォール街行動への参加者からも、「卒業しても職がなく、借金だけが残る」との痛切な声が相次いでいます。