2011年10月27日(木)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
インターネットの動画サイトで、ちょっと驚くような映像が流れています。今は「引退」した山口組元最高幹部が、現役当時に催したパーティーの様子を撮影したものです▼誰でも知っている大物俳優やベテラン歌手らが次々とマイクを握り「いつもお世話になっています」などと、元幹部にこびを売ります▼今年8月、タレントの島田紳助氏が暴力団との親密交際が発覚して芸能界を引退しました。島田氏は「この程度でもあかんのです」と未練がましくいいましたが、暴力団との癒着は、絶対に許されるものではありません▼それにしても不思議です。なぜ、犯罪組織が堂々と組の看板を掲げて立派な事務所を構え、有名芸能人と派手な交際に興じられるのか。背景には、時の政権やそのもとで警察が建前とは裏腹に、暴力団を利用してきたことがあります▼安保闘争が高揚した時代、右翼・暴力団が国民の運動つぶしに動員されました。右翼団体の多くは、暴力団の別動隊です。警察幹部だった鈴木達也氏は著書『山口組壊滅せず』で、壊滅できない原因を「人も金も組織も治安警備警察に偏重してきたため」と断じています▼右翼に詳しいフリー記者によると、公安警察は、暴力団員が右翼にくら替えすれば大目にみるそうです。右翼の“評価基準”は「日本共産党に、反共街宣をかける回数が重要」だとか。最近、警察は暴力団に厳しい姿勢を見せていますが、この根本を改めないと、いつまでも「山口組壊滅せず」になりかねません。