2011年10月22日(土)「しんぶん赤旗」
衆院選挙制度各党協議会での
穀田国対委員長の表明
21日の衆議院選挙制度に関する各党協議会で、日本共産党の穀田恵二国対委員長が表明した「衆議院選挙制度についての基本的考え方」についての意見(要旨)は次の通りです。
|
現行の衆議院選挙制度の最大の問題は、民意をゆがめている小選挙区制そのものにあります。
最高裁判決について
今年3月の最高裁判決は、現行の小選挙区比例代表並立制を前提とし、その枠内で小選挙区の定数を各都道府県に「1人別枠」で配分する規定を違憲と判断しました。この指摘は当然ですが、この規定の改廃で、現行の選挙制度がもっている本質的欠陥が是正されるものでは決してありません。
小選挙区制の問題点について
小選挙区制が導入され5回の総選挙が行われましたが、多くの小選挙区で議席に結びつかない票が過半数を超えるなど大量の「死票」を生み出し、比較第一党が4割台の得票で7割もの議席を占有するなど、小選挙区制が大政党に有利に民意をゆがめる最悪の制度であることがはっきりしました。
2005年総選挙では自民が得票率47・8%で議席占有率73%。09年総選挙では民主が得票率47・4%で占有率は73・7%でした。死票は、05年総選挙では投票総数の48・5%の3300万票、09年総選挙では46・3%の3270万票にのぼりました。
小選挙区制が政治の「劣化現象」を生み出しているとの指摘が広範にあることも看過できません。
05年の郵政選挙で自公両党は衆院の3分の2の議席を獲得し、多数の力で押し通す政治が横行。国民の批判によって政権交代が起こりました。ところが民主党は政権につくと公約を投げ捨て、「ねじれ国会」となると国民不在の妥協をくりかえす。こうした無責任政治が国民の信頼を失墜させ、「政治の劣化」と指摘されているのです。
小選挙区制導入を主導した細川元総理や河野前衆院議長が「失敗だった」と認めているように、小選挙区制の本質的欠陥は明白です。
比例中心へと抜本改正を
選挙制度の根幹は、民意を正確に議席に反映することです。この立場から、わが党は、「小選挙区制を廃止し、民意を正確に反映できる全国11ブロックの比例代表制に改める」ことを提案してきました。各党からも現行制度を見直す提案がでていますが、多様な民意を正確に議席に反映できる比例代表制を中心とした制度に抜本的に改めることが必要です。
憲法43条は「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」としていますが、憲法の精神から言えば、国会議員は少数者を含む全国民の意思を公正・平等に代表すべきです。
国会議員削減は民意を削る
国会議員定数の削減がいわれますが、国際的にも日本の議員の定数は決して多いわけではありません。とりわけ比例代表定数を削減しようとする企ては、断じて容認できません。
比例代表定数を削減すれば小選挙区の比重を相対的に高め、現行制度の本質的欠陥をいっそう拡大し、民意を切り捨てるものです。
民主党案の比例80削減で小選挙区300比例100にすると、小選挙区の比重は62・5%から75%へと高まり、単純小選挙区制に限りなく近づき、大政党に有利な仕組みとなります。
「身を削るべき」は増税がねらい
「政治家も身を削るべき」との発言が相次いでいます。民主党の藤井裕久氏は復興増税に関連して「国会議員の定数削減は、増税と同じ次元で考えなければならない」と述べています。「国会議員が身を削るから、国民も消費税増税を受け入れよ」というのが狙いです。
国会議員を減らすことを条件に、消費税増税を通すというのは二重に許されません。消費税増税で生活を破壊した上、他方で国民の声が国会に届かないようにするなど、断じて認められません。
■関連キーワード