2011年10月20日(木)「しんぶん赤旗」

震災義援金理由の生活保護打ち切り

一方的、我慢できない

取り消し求め審査会で陳述 福島・南相馬市の受給者


 福島県南相馬市の生活保護受給者3人が、東日本大震災被災者に届けられた義援金などを収入とみなして保護を打ち切った処分を不服として、県に対し同市の処分取り消しを求める審査請求をした問題で19日、受給者2人が福島市内で口頭意見陳述をしました。他の1人については弁護士が代理人を務めました。


 意見陳述をしたのは、南相馬市鹿島区の男性、Aさん(64)と原町区の男性、Bさん(64)です。

 被災各地で生活保護の打ち切り処分が行われ、社会問題となっています。同市の処分件数は9月末までで、241世帯と他市町村に比べ突出しています。

 同市は打ち切り処分の際に考慮される「自立更生計画書」作成などの手続きについて十分な説明を行っていません。

 口頭意見陳述で、Aさんは義援金などの使用目的を記す「自立更生計画書について何ら説明を受けていない」「一方的に生活保護を打ち切られるのはがまんできない」などと訴えたといいます。

 Bさんは、義援金が振り込まれた日に市担当者から電話で「義援金を“収入”とみなします。義援金の40万円で1年近くは生活できるでしょう」と言われ、廃止処分されました。「一般の人には所得税を課さず“収入”とみなしていない。なぜ扱いが違うんだ」と強調しました。

 意見陳述後の記者会見で、渡邊純弁護士は「義援金受け取りを理由に打ち切るのは、生活保護法などに照らすと社会通念上妥当でない。また、同市の廃止処分の仕方はずさんだ」と批判。「今後も福島県弁護士会と日本弁護士連合会は、運動を広げていく」と強調しました。

 倉持惠弁護士は、義援金などを理由に生活保護を新たに申請しても同市が却下する可能性について「許されることではない」と批判しました。





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