2011年10月19日(水)「しんぶん赤旗」

復興・原発 真の財源論持つ党は

民・自・公 庶民に増税、大企業は減税

共産党 “原発埋蔵金”など活用提案


 東日本大震災からの復興のための3次補正予算案と復興財源をめぐって、いま政府・民主党案を「たたき台」に民主、自民、公明の政策責任者による3党協議が進んでいます。しかし、密室協議の点でも、庶民増税が大前提となっている点でも、被災者・国民そっちのけです。


 3党協議の焦点となるのが復興増税です。政府・民主党案はサラリーマンと自営業者には10年間で8・8兆円増税(所得税など)、大企業は10年で11・6兆円減税の大盤振る舞いです。法人税は5%減税した上で、その範囲内で付加税を3年に限って課すというもので、実質2%の減税となるからです。

 同案に対し、3党協議ではどのような議論が交わされているのか。

違いは期間だけ

 自民党の異論は「10年」という償還期間の延長です。同党の茂木敏充政調会長は14日の3党協議の際、60年の建設国債に準じた償還期間を提案。終了後、記者団に「(償還期間を長くすることで)1年にかかる所得税が変わってくる」などと語りました。

 同党は税目についても、“期間が延長されれば、たばこ税増税は不要”としているのが異なる程度で、サラリーマンや自営業者、農漁業者など庶民だけの負担は否定せず、結局“短く厚くとるのか、長く薄くとるのか”の違いでしかありません。

 公明党も同様に償還期間について“10年では短い”という認識。茂木氏は両党の考え方について「基本的なところで歩調はあっている」(13日)と記者団に語っています。

 民主党の前原誠司政調会長が「柔軟に対応したい」として修正に応じる姿勢を示しているのは、“庶民には増税、大企業には減税”の逆立ちした財源論という点では、3党に違いがないということの表れともいえます。

 対照的なのが、日本共産党の復興財源に関する考え方です。地震と津波による復旧・復興の財源と原発事故による除染・賠償の財源――性格が異なる二つに分け、それぞれを確保する方策を提起しています。

 復興財源では、不要不急の大型公共事業の中止などを要求。また法人税減税を中止し、証券優遇税制の延長をやめ本則の20%に戻すだけでも、あわせて10年で17兆円を確保できるとする、庶民増税なしの財源案を提案しています。

原発災害対策は

 原発災害対策の財源では、民自公がまともな財源対策も示さず、政府・与党の「たたき台」では巨額の費用が必要とされる除染対策で、3次補正予算案ではわずか2千億円です。福島・飯舘村で必要とされる3千億円にも達しません。

 これに対し、日本共産党は「使用済み核燃料再処理等積立金」など“原発埋蔵金”を国が一括管理する基金に移し、財源として活用するという提案をし、メディアでも注目されています。“埋蔵金”は、電力業界が原発、核燃料サイクル計画推進などのために19兆円を予定に積み立てているものです。基金には原発推進で莫大(ばくだい)な利益を上げてきた「原発利益共同体」にも応分の拠出を求めています。

 7日の党首会談では、この提起に首相も「今後、エネルギー政策全般を見直すなかで、洗い出したお金は、可能な限りそちらの方(賠償と除染)に使っていく」と否定できませんでした。

 20日に開会される臨時国会。復興財源は逆立ち、原発対策ではまともな財源論もない民主、自民、公明か、国民の立場に立った財源論を示している日本共産党か、財源をめぐる対決構図ははっきりしています。(竹原東吾)





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