2011年10月13日(木)「しんぶん赤旗」
高額医療費に年間上限
厚労省 低・中所得者の負担軽減も
厚生労働省は12日、医療費が高額に上る患者の自己負担に限度額を設けた高額療養費制度の改善について、所得に応じた区分を細分化して低・中所得者の負担を軽くし、年間の上限額を新設するなどの具体案を示しました。同日の社会保障審議会医療保険部会で議論されました。
現在、限度額の区分は上位所得者、一般所得者、低所得者(住民税非課税)の3段階。一般所得者に含まれる範囲が広く、負担が重いとして、軽減策が検討されてきました。
厚労省案では、一般所得者を(1)年収300万円以下(2)年収300万〜600万円(3)年収600万円以上―の3段階に分け、(1)(2)の限度額を引き下げます。
また、上位所得者や低所得者も含めて、現行の限度額(月8万100円などの定額負担部分と医療費に応じた定率負担部分の合計)のうち、定率負担部分を廃止します。
その上で年間上限額を新設します。現行では月ごとの上限しか設定されていません。年間上限額は、低所得者が25万9千円、年収300万円以下が37万8千円、年収300万円以上が50万1千円、上位所得者が99万6千円とします。
これらは、2015年度ベースで公費1300億円規模の改善と説明。財源は、外来患者に1回100円の定額負担を課して生み出すとしました。しかし定額負担で十分な財源を確保できるのは初年度のみ。翌年度以降は高額療養費の伸びが定額負担で生まれる財源を上回るとしました。
委員からは「(高額療養費の財源を外来患者に求める)こういうことが繰り返される」などの批判が続出しました。