2011年10月10日(月)「しんぶん赤旗」
災害復興学会
“産業再生が課題”
被災地首長ら迎えシンポ
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日本災害復興学会は9日、東日本大震災で大きな被害を受けた自治体の首長らを迎え、「東日本大震災からの復興をどう進めるか」を考えるシンポジウムを東京都内で開催しました。
宮城県気仙沼市の菅原茂市長は「水産業が壊滅したなか、被災者は仕事がない、お金がないという現状に直面している。仕事の確保には海岸部の土地の利用復活が欠かせない。国との話し合いが必要だと考えている」と述べました。
同石巻市の亀山紘市長は、がれきの7割がまだ処理されていないことや、震災から7カ月たった現在も避難所が解消できていない現状を報告。「産業の再生が一番の課題だ」とのべ、企業の誘致や、自然エネルギー産業での雇用創出などを語りました。
同南三陸町の遠藤健治副町長は、平地にあったほとんどの家屋が津波の被害にあい、水産業も大きな打撃を受けた現状を説明。「津波被害のあった全地域の高台移転をめざしている」と話しました。
福島県新地町の加藤憲郎町長は、避難訓練の強化や防災無線を充実してきたことを報告し、「平地の高台がない地域の人は家をなくしたが、命は守ることができた」と語りました。原発事故について「政府が放射能問題でぶれている。福島県民の不安は取り除けない」と批判しました。
岩手県大船渡市の佐藤高廣・災害復興局長は、市の復興計画を説明し、計画にあたって市民の参加を重視してきたことを強調。高台移転をすすめるうえで、造成地費用の国の支援を求めました。
日本災害復興学会会長の室崎益輝・関西学院大学教授は「復興学会も含め、あらゆる知恵を出して今後の街づくりを考えていかなければならない」と述べました。